楽天・エアアジア連合、仁義なき乗員奪取作戦 独自入手資料が物語る、パイロット引き抜きの秘策
英国マンチェスターのサッカー場で初めて対面し、意気投合したという二人の豪腕経営者は、3年の時を経て、東京・港区の記者会見場で熱い抱擁を交わした。
東南アジア最大級の格安航空会社(LCC)、エアアジアは7月1日、新会社「エアアジア・ジャパン」の設立を正式に発表した。先週発売の本誌でも報じたように、インターネット通販大手の楽天など、日本企業4社がパートナーとして出資する。
出資比率はエアアジアが49%、米系投資ファンドのオクターヴ・ジャパンが19%、楽天が18%などと続くが、航空法による外資規制の関係から、議決権ベースではエアアジアの比率は33%となっている。今後は2015年夏をメドに、まず国内線を就航し、その後は国際線にも打って出る計画だ。
“豪腕”トニーの執念
マレーシアに本社を置くエアアジア。2001年にわずか25セントで買い取った企業を、トニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)が10年ほどの間に世界的な航空会社へと育て上げた。そんな立志伝中の人物にとって、日本は数少ない、一敗地にまみれた場所だ。
同社は2011年にANAホールディングスとの合弁で旧エアアジア・ジャパン(現バニラエア)を設立した。だが、運営方針をめぐって両社の対立が深まり、2013年6月に提携を解消。一時的に日本の国内線から撤退した。
新生エアアジア・ジャパンによる日本再参入を発表したこの日の会見で、フェルナンデスCEOは「今回はエアアジア・ジャパンにとって第2幕だが、この次はもうない」と宣言。是が非でも日本市場で事業を成功させるという強い意志を感じさせた。
彼の熱い思いは、乗務員への報酬額にも表れている。本誌が独自に入手した1枚の資料。そこには、保有する資格に応じたパイロットの年俸が詳細に記されている。