ANAのLCC子会社、就航1年でケンカ別れ 話題を呼んだ格安航空が早くも試練を迎えている。
運航開始から1年も経たない日本のLCC(格安航空会社)が早くも転機を迎えている。
マレーシアのLCCであるエアアジアは、ANAホールディングスと合弁で運営するエアアジア・ジャパンについて、合弁を解消する可能性があることを明らかにした。エアアジアの持つ49%の株式はANAが買い取る方向で調整している。
両社の関係にひびが入った原因は、経営方針をめぐる対立だ。エアアジアは世界共通の販売・運営システムの使用を求めたほか、「初年度からの黒字化」という高い目標を設定。一方、ANAから派遣されたエアアジア・ジャパンの経営陣は、これを日本の市場になじまないと考え、度々意見を対立させた。
予兆もあった。運行開始からわずか4カ月余りの昨年12月、エアアジア・ジャパンの岩片和行社長が代表権を持たない会長に退いた。同社は「会長と社長で役割分担を行うことで、意思決定を迅速化する」と説明したが、実質的な更迭だった。
「エアアジアのマレーシア本社は機材をグローバルで共同購買し、グループ各社に定期的に引き取らせている。岩片氏は『就航したばかりで、そんなに受け入れられない』と突っぱねたため、外されたようだ」と他社の幹部は見ている。
それでも、LCCの生命線である搭乗率は上がらなかった。ゴールデンウイーク(GW)の国内線の搭乗率は同じANAグループであるピーチ・アビエーションの91%に対し、68%と苦戦した。
経営方針の違いに業績の低迷が重なったことで、豪腕経営者として知られるエアアジアのトニー・フェルナンデスCEOが、三行半をたたきつけた。
ほかのLCCにとっても、今回の件は対岸の火事ではない。
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