楽天は、なぜ「1000億円M&A」を決めたのか? 三木谷浩史会長兼社長が語る戦略の核心
三木谷:でも彼らは考えたんだと思います。IPOをしてスタンドアローンでやっていく場合、国際展開はどうするんだ、とか。それはそれで大変なことなので、だったら楽天と組んだほうがいいと判断したんだと思います。
山田: なるほど。
三木谷:しかもIPOをしても、売るほうの株主は、すぐに全ての株式を売ってキャッシュ化できるわけではない。着実に売却してしまうのであれば、全株式を一気に売った方がいい。それだけでなく、楽天はEbatesのモデルや、顧客へのサービスを非常に深く理解しているので、責任を持った対応をしてくれるであろうと考えたのではないかな、と思います。
山田:ケビンCEOはアリババの話もしていた。アリババのIPOを前に、IPOが難しいという雰囲気はあるのでしょうか。
三木谷:それは分からないですね。
競合のことを意識しても仕方がない
山田:アリババは最大で2.5兆円を調達する。この調達規模は非常に大きいですよね。このインパクトは相当あるでしょうね。
三木谷:真面目な話、それはちょっと分からないです。
山田:アリババがどういう競争を仕掛けてくるのか、気になりませんか。
三木谷:確かに、中国の競争は中国の競争で大変だと思いますよ、テンセントも伸びていますし、アリババも大変だろうな、と思います。ただ、私の耳に競合の状況についての情報が入るにしても、だったらこうしよう、という対策を打てるわけではない。やっぱり自分たちが考えているオリジナルなモデルを追求していくことによって、着実に成長していくしかないんです。
もしかしたらアリババがすごく大きくなるかもしれないけども、それは私にどうすることもできないので、どうすることもできないことを考えても仕方がないんですよね。
競争関係はいろいろ変わっていきますが、ご存じのように楽天は今まで常に新しい展開をしてきたじゃないですか。単純なイーコマースから複合的エコシステムへ進化しましたし、野球への参入もそうですけれども。、新しいことを次々にやってきた。海外展開においても今回のEbates買収、Viber買収に関しても、他社が取らなかった手を取ってきていると思うんですね。もともと僕の性格もそうですし、他社の真似をするのではなく、自分がこういう風になっていくであろうな、という将来ビジョンに沿ってやっていく。そしてデータに基づいた打ち手を着実に打っていくというスマートな戦略をこれからも展開していきます。
山田:ケビンさんは、熱い志を共有できる経営者なわけですよね?
三木谷:ケビンも、スコット(・ブラディ・Slice Technologies CEO)も、インテリジェントなプロ。彼らが楽天USAのマネージメントに入ってきますから、これは大きいですよ。
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