楽天は、なぜ「1000億円M&A」を決めたのか? 三木谷浩史会長兼社長が語る戦略の核心

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三木谷:つまり、楽天はサービスの規模もどんどん大きくなってくる。オープン化も進めてきており、今ではAPIも公開するようになった。そうした中で、さらにオープンにするためにはどうしたらいいか。オープンだったら、すでにGoogleのようなものがあるとは言うものの、そうは言っても単なるサーチエンジン、単なるリンクじゃつまらないよね、と。ここのところに、メンバーシップのモデルが成り立つ。楽天はメンバーシップの会社であり、Ebatesもキャッシュバックというメンバーシップ。しかも、Ebatesは会員のロイヤルティが極めて高い。

僕らの戦略というのはやっぱりメンバーシップというものをベースにして、そしてイーコマースのトランザクションのボリュームを上げていこうということなんです。

山田:普通の見方をすれば、世界の基準は垂直統合型のAmazonみたいな世界があるから、あれが基準だと多くの人が考える。ショッピングモールの楽天は日本でたまたま成功しただけ、という見られ方もする。しかし、モール型は世界で伸ばしていける、と。

三木谷:いや、我々の競合さんも、やっぱり直販型からからマーケットプレイス型に変えないと、プロダクトの幅も出ないし、それから楽しさも出ない、ということで変わってきていますよね。ある意味では、一番プリミティブなものが直販型モデル。その次がマーケットプレイス。そして楽天のモデルが、ネクストジェネレーションだと思っている。ほかのところは直販型からマーケットプレイス型に乗り変えつつある、という今のタイミングで、我々さらにもう一歩先に行く。

これを、アメリカ、ヨーロッパを含めて世界で一気に展開をしていく。他国では、何かを買う場合には、その国で有名なお店から買いたいという思いがある。例えばアメリカの人はどこから買いたいのかと言うと、(通販会社の)ニーマン・マーカスから買いたいとか、あるいは(化粧品や香水を扱う)セフォラから買いたいとか。そこを結びつけていきたい、ということです。

20億人のID経済圏をつくりたい

山田:楽天IDとViber(バイバー)IDの統合を進めます。これにより、かなり大きな楽天ID経済圏ができるわけですね。

三木谷:Viberは今がだいたい8億人なんですが、1日100万人以上が追加していっていますから。将来的には夢として20億人を実現したいと思っています。

山田:それだけの人数が、共通体験をできるようになる。

三木谷:同じ通貨が発生するということですよね。

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