古代ローマに学ぶ効率的な「税システム」のあり方 「脱税」で崩壊したローマ帝国の歴史を紐解く

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民衆の不満が高まり、各地で反乱が起きるようになった古代ローマでは、国家システムを改善させる強いリーダーが必要でした。

こで登場してきたのが、ローマ帝政の初代皇帝アウグストゥスです。

アウグストゥスは、徴税請負人をなるべく通さず、政府が直接、属州に対して徴税を行うように改めようとしました。

暴君として名高い皇帝ネロなどもそうです。ネロは、これまで市民に公開されていなかった「徴税規則」を公表し、税金を払えない者に対する徴収権を1年の時効で消滅させることにし、徴税担当官の不正の是正を最優先課題に掲げました。

これらの皇帝たちの努力により、古代ローマの徴税システムは、以前に比べて安定するようになりました。が、徴税請負制度は撤廃されたわけではなく、徴税担当者の腐敗も後を絶ちませんでした。

ローマ帝国がキリスト教を国教とした理由

紀元284年にローマ皇帝に即位したディオクレティアヌスは、大幅な課税強化を行いました。ローマ帝国内の各都市、属州に対して、中央政府が直接の徴税に乗り出しました。徴税請負人や地元の権力者らの「中間搾取」を排除しようとしたのです。

政府自らがローマ帝国内を個別調査し、税金の額を決定しました。

価値の下がったデナリウス貨での徴税はやめ、収穫物などの現物納付に改めさせました。

なぜか。紀元前200年ごろからつくられるようになった「デナリウス貨」は、ローマ帝国内での中心的な通貨でした。しかし、当初純銀でつくられていたデナリウス貨は、紀元270年ごろには、わずか5%にまでなり、その後も下がり続けました。当然、激しいインフレが生じていたのです。

そして、イタリアに住むローマ市民にも直接税を課しました。それまでローマ市民(一定の資格を持つ者)は、人頭税などの直接税は伝統的に免除されていましたが、その特権を廃止したのです。

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