エマニュエル:コロナ禍でも、大晦日に独身者が集まってパーティーをすることはあるらしいよ。独身者の少し変わった過ごし方の例として挙げるなら、モンペリエという南仏の町で行われた“レストフォン”というのがある。
大晦日に、レストラン内の各テーブルに電話がおいてあり、その場にいる気になる相手のテーブルの番号に電話をかけて会話をして恋人を探すという企画らしい。すごく単純ではあるけれど、オリジナルではあるよね。対面で話さないから感染のリスクもさがる。
もう1つは、“ビデオ・スピードデート”といわれるものだ。これはよく婚活パーティーなどであるような、参加者1人ひとりと数分会話をして、最後に気に入った相手が合致すれば連絡先を交換できるというようなもので、それを大晦日の日に独身者がオンラインでシャンパンを飲みながらしているらしい。
フランス人は大晦日によく食べる
話が少しそれたので、もとに戻すと、一般的に大晦日の日はよく食べるということで、レストランに食事をしに行く人も多い。しかしコロナ禍での現在は、衛生パスポートを提示か陰性証明を有料で行うなどしなければレストランを利用できず、また高齢者や感染を恐れる人たちはやはりレストランへ行くのを避けがちになる。
だからと言って、大晦日によく食べることをあきらめるわけではなく、ただ単純にレストランではなく自宅で美味しいものを食べるようになった。前にも話したように(フランス人の「消費行動」が劇的に変わった事情)、今は宅配サービスの充実で、家でも美味しい材料を簡単にそろえることができるようになったからね。
それから、コロナ禍以前では年末年始にバカンスに出かける人もいると話したよね。スキーリゾートや南国の島が主な旅行先だったが、これを中止しなければならない人がたくさんいた。特にグアドループやマルティニークなんかは現在感染数も増えていて、とても旅行に行ける状況とはいえない。国によっては外国人観光客を受け入れていないところもある。
そこで、旅行先は主にフランス本土に決める傾向があるようだ。その影響で、「ジット・ド・フランス(協会に登録されている貸別荘や民宿のネットワーク)」の予約は例年よりも増え、2週間のクリスマス休暇期間で、すでに80%が予約で埋まったそうだ。