三菱自動車「ラリーアート」ブランド復活の真意 第1弾はトライトンとパジェロスポーツを発表
コネクテッド(ネット接続)、オートノマス(自動運転)、シェアード(共同利用)、エレクトリック(電気自動車)を総合したクルマが未来像であり、そのとき、自動車メーカーの区別がどれほど存続できるかに各メーカーの将来がかかっている。自動運転での共同利用がクルマ社会の基盤となったとき、トヨタであったり日産であったり、あるいは三菱自動車である意味は残るのだろうか?
そこは、メルセデス・ベンツもBMWも、ルノーやフィアットなども同じ環境にさらされるだろう。
そうした未来を見据えたとき、ポルシェが言いはじめたのが「買ってもらうブランドから選んでもらうブランド」になるための戦略だ。そのひとつが、エクスペリエンスセンターの世界展開であり、あるいは国内の一部マンション住民に提供されるカーシェアリングだ。自動運転や共同利用で個人の自由な移動が満たされ、クルマの区別がつきにくくなったとき、それでもポルシェという名を忘れず、機会があれば乗りたいと思ってもらうことこそ、企業の存続につながるというわけだ。
歴史を象徴し、付加価値を与えるサブブランドの意味
同じことが旧車(クラシックカー)のレストアや、復刻部品の供給といった、メーカーの歴史に触れる事業への取り組みにもいえる。
たとえば日産は、2013年にニスモの本社を移転し、それにあわせてニスモ仕様の市販車を拡充するとともに、旧車のレストアも事業に加えた。単に競技専門の技術集団としてだけでなく、あたかもAMGのように市販車の車種に付加価値を加え、収益を向上させながら、あわせて日産の歴史も感じてもらえるようなレストアや復刻部品の強化を行うようにしたのである。メルセデス・ベンツには、AMGとは別だが、クラシックセンターがあり、レストアはもちろん、カール・ベンツが生み出した世界初のガソリンエンジン車である「パテント・モトール・ヴァーゲン」のレプリカの製造も行っている。
トヨタも遅まきながら2007年に「ガズー・レーシング」を立ち上げ、これをGRブランドとして2017年から新車に付加価値を与えた車種追加を行うようにした。
技術の高さや競技での速さといった強い印象を活用し、付加価値による高価格帯の新車販売につなげ収益を確保するとともに、将来的に企業価値を残す活動が、いま世界の自動車メーカーによって未来の雌雄を決すべく展開されているのである。
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