三菱自動車「ラリーアート」ブランド復活の真意 第1弾はトライトンとパジェロスポーツを発表

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トライトンの特別仕様車は、クラブキャブ(メガキャブ)およびダブルキャブのローライダー仕様がベースとなる。写真はタイ仕様(写真:三菱自動車)

自動車メーカーの支援を受けながら、競技で華々しい活躍をする姿は、欧州でも見られる。有名なのは、メルセデス・ベンツの「AMG」だ。また同じドイツのBMWには「M」がある。またフランスのルノーには「ルノー・スポール」がある。

それらはいずれも、競技車両の開発などを手掛けるため、個人が設立した会社がメーカー傘下に入るAMGのような例もあれば、Mやルノー・スポールはメーカー自身が競技用の開発を行うため子会社として設立した場合もある。

いずれにしても、名のある自動車メーカーがサブブランドのような存在を活用する理由はどこにあるのか。

技の世界で勝つために必要な継続性を担う存在

競技は、継続性が重要だ。一方、時代背景などもあって自動車メーカーの取り組みとして中断される場合が多い。しかしその間も、経験豊かな人々が継続的に活躍できる場があることによって、技術や知見が継承されていく。ことに競技は、技術だけで勝てるわけではなく、戦い方という戦略、個性豊かなドライバーをいかに育て活かすかによって勝敗が決まる。また、タイヤメーカーなどとの連携も欠かせない。近年は、ワンメイクタイヤによるレースも増えたが、競技経験が豊富で、技術力も高いタイヤメーカーとの連携は欠かせず、そこには人と人の縁も関わる。

あらゆる側面で、継続性が不可欠な競技の世界がある一方、企業の人事は、異動があったり転職があったりして、人員構成が定まらない。また、ある人物が永年専門的に取り組んだとしても、やがて定年を迎えることにもなる。そうした企業の仕組みとは別の組織があることで、競技の世界で強さを発揮できるようになるのである。

そこで国内においても、継続的に競技で好成績を残すには、ラリーアートやニスモ、あるいはマツダスポーツやSTIといった別会社の存在が重みを増したのである。

そのうえで、今日改めてそうした競技や技術を背景とした傘下企業の存在が注目される背景にあるのは、次世代のクルマ社会を見据えたCASEを考えないわけにはいかない。

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