さらば「パジェロ」、三菱看板SUVが消えゆく意味 国内向け生産が8月に終了、37年の歴史に幕
三菱自動車工業の4輪駆動車であるパジェロが、今年8月で国内向けの生産を終了する。パジェロは、今日のSUV(スポーツ多目的車)の草分けの一台として1982年に誕生し、37年に及んだ歴史に終止符が打たれることになる。
国内販売を終了する理由は、保安基準における歩行者保護対策が2018年以降強化されることになり、その対応が、販売台数の減少から難しくなったためであるという。
歩行者保護とは、クルマが歩行者と接触した際、バンパーによって跳ね上げられた歩行者がボンネットフードに頭をぶつけて負傷するのを軽減する措置で、2005年から施行されている。モデルチェンジ前の車種について、なおかつSUVに関しては2012年まで適応が猶予されてきた。パジェロも2012年にその対応は行っている。
タイムリミットが迫っていた
その後さらに、頭部の保護だけでなく、バンパー下へ脚部が巻き込まれるのを抑制する措置も追加され、これも2013年から施行されているが、継続生産される車種については2019年まで猶予される状況だった。これが、ちょうどパジェロが国内での販売を終了する時期と重なる。
三菱自としては、これら歩行者保護対策として、まず電気自動車(EV)のi-MiEVがバンパー変更を行って軽自動車から登録車へ移行する対策を施した。また先ごろ外観を大きく変更したデリカD:5も、フロントグリルとバンパーが大きくなった背景には歩行者保護の脚部への対応も含まれていたと考えられる。
現行の4代目パジェロは、2006年のモデルチェンジによって登場し、そこから12年間販売が続けられた。その途中で歩行者保護の安全策が求められ、さらに強化される事態となったのである。
昨今、乗用車のボンネットフードがかさ上げされるように高くなったり、余計な出っ張りが少なくなったりして丸みを帯びたりするのは、歩行者の頭部がボンネットフードに当たっても、エンジンなどとの間の隙間で緩衝されることを目的としている。また、スバルは、さらにワイパーアームなどの硬い部品に頭部が当たるのを防ぐため、歩行者エアバッグをインプレッサなどに採用するなどを行っている。
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