さらば「パジェロ」、三菱看板SUVが消えゆく意味 国内向け生産が8月に終了、37年の歴史に幕
SUVの場合は、悪路走破のためバンパーを比較的高い位置とするため、歩行者の脚部を巻き込みにくい形状にするには策が必要だろう。それでないと、急な坂を上ろうとしたり、下りてきたりした際に、バンパーを地面にぶつけてしまう。
実は、トヨタの現行ランドクルーザーも、2007年にフルモデルチェンジして以来継続して販売されているが、その顔つきの変化を見てみると、当初と比べ現行車はフロントバンパー部分が厚みを帯びている。
最新のRAV4も、フロントバンパー部は、グリルと2段構えのような厚みを持つ造形が施されている。それでいて、アプローチアングルと呼ばれ、急坂の地面とフロントバンパーが接触しない機能と造形との両立に、苦心の跡があるはずだ。
ドヤ顔とみられる昨今のフロントグリルの造形も、この歩行者保護の規定を満たす手段の1つともいえるかもしれない。
2018年の年間販売は747台
そのような歩行者保護対策を盛り込むには、それなりの販売台数を見込めなければ投資に対する利益が得られなくなる。パジェロの販売台数は、近年どのような傾向にあったのか。
限られた情報ではあるが、2015年までは月販3ケタを保持してきたが、2016年以降減少し、2017年にはほぼ2ケタとなり、2018年以降は3ケタに届いた月がないほどであった。それにより年間販売台数が、2018年は747台、2017年は1081台、2016年は1156台というように、月販販売台数の間違いではないかと思えてしまうほど低迷している。
日本自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位の統計によれば、昨年4月から今年3月までの2018年度での年間販売台数で、三菱自のほかのSUVであるアウトランダーは8759台、エクリプスクロスが9115台、そしてデリカD:5は1万7075台を売り上げている。
月販2ケタに落ち込んだパジェロは、アウトランダーと比べ年間販売台数で約10分の1でしかないことになる。これでは歩行者保護対策のための追加の開発費は出にくいだろう。
改めて販売台数の数値を目の当たりにすると、なぜそこまで落ち込んでしまったのかと残念な思いが募ってくる。
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