広大な大地を旅したい、北海道ご当地鉄道事情 道東・道北で長距離列車を思う存分満喫しよう

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それでも、滝川駅を発して約8時間20分かけて釧路駅まで走るという“日本一長い普通列車”があったり、かなやま湖のほとりの幾寅駅が高倉健さん主演の名作映画『鉄道員』の舞台になったりと、見どころは多かった。

根室本線東鹿越駅。ここから新得駅までの鉄路は風前の灯火だ(撮影:鼠入昌史)

しかし、2016年の台風被害によって今もって東鹿越―新得間は運休中。とうぜん日本一長い普通列車も消滅し、健さんの愛した幾寅駅にも列車に乗ってゆくことができなくなった。どうやら復旧は難しいようで、根室本線はど真ん中の山間部で分断されたままの路線になってしまいそうである。

日本で最も東の果てにあるターミナル・根室(撮影:鼠入昌史)

さらに根室本線には釧路―根室間、花咲線という愛称を持つ区間もある。根室駅の1つ手前、東根室駅は日本最東端の駅として名高い。地図を見れば当たり前のことだが、北海道には最北端と最東端の駅がともにあるのだ。

釧路―根室間も実は途方もなく離れている。ここは特急列車は走っていないので、普通列車に乗って約2時間半。根釧台地と呼ばれる一帯を駆け抜け、海沿いを走る区間では太平洋も望める。根室から釧路へと戻る夕暮れ時の車中、遠く雪原をシカの群れが走っているのを見たことがあり、そのあまりの絶景ぶりが目に焼き付いて離れない。絶景車窓の基準は人それぞれだが、個人的には“花咲線”を日本一の絶景路線”だと思っている。

北海道は鉄道で旅をしたい

これでようやく、北海道の鉄道の旅はおしまいである。函館―札幌という道南の旅から、道北・道東を目指す旅へ。いかに北海道がとてつもなく広く、そこを走る鉄道が壮大なるローカル線であるのかがわかっていただけたのではないかと思う。

北海道の鉄道は経営状況が極めて厳しい。東京など都心に住んでいると、「廃線に反対するくらいなら地元の人がもうちょっと皆が乗ればいいのに」などと安易に考えてしまう。しかし、実際に北海道の鉄道の旅をすれば、日常的に鉄道を利用することがいかに難しい地域であるかが実感できる。それだけ北海道は広く、誰も住んでいないような地域も多いのだ。

だからこそ北海道は鉄道で旅をしたい。雪の中であっても安心して車窓を眺めていればそれでいいし、なにより鉄道の旅のいいところは、何時間でも乗って車窓を見るだけでその地域のことがなんとなくわかったような気になれる。そんなわけで、今年の冬は北海道の鉄道の旅をしてみてはいかが?

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鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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