広大な大地を旅したい、北海道ご当地鉄道事情 道東・道北で長距離列車を思う存分満喫しよう

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いつだったか、真冬の夜遅くに宗谷本線の各駅停車に乗ったことがある。車窓から外を見ても漆黒の闇。トイレに立ったついでに運転台の脇から進行方向を眺めてみたが、これまたほとんど闇の中であった。若い運転士がかぶりつくようにして前方を見ながらノッチとブレーキを握っている。

駅に停車すると、「野生動物が出てくることがあるんですよね。変なところで止まってしまうと大変なので……」とつぶやく。その各駅停車に乗っていたお客は筆者ひとり。ローカル線の運転士は、孤独な戦いを強いられているのである。

旭川から網走を目指す

旭川駅から北を目指すのもいいが、もう1つの鉄道旅となると石北本線であろう。

白滝付近を走る石北本線特急「オホーツク」(撮影:鼠入昌史)

石北本線はいくつもの峠を越えて北見・網走を目指す。こちらも特急「オホーツク」「大雪」が走っているが、旭川―網走間は実に4時間弱。特急列車に揺られていれば快適ではあるが、4時間近い長旅はさすがにつらいものがある。列車の中でぬくぬくとなどと気軽に考えていても、やはり試される大地、冬の北海道の旅は厳しい。

北見はオホーツク沿岸地域の中心都市(撮影:鼠入昌史)
石北本線と釧網本線が接続するオホーツク沿いの町・網走(撮影:鼠入昌史)

ハッカとカーリングでおなじみ北見の町、網走監獄の網走の町と来れば、もう目の前はオホーツク海だ。網走駅からそのままオホーツク海沿いの旅をさせてくれるのが釧網本線である。

釧網本線はその名の通り釧路と網走を結んでいる路線だ。網走をスタート地点に旅をすれば、しばらくオホーツク海沿いに走って知床半島の玄関口・知床斜里駅付近で南に進路を転換。屈斜路湖・摩周湖の間を通り、釧路湿原の中を抜けて釧路駅にたどり着く。

北海道では唯一のSL運転である「SL冬の湿原号」(撮影:鼠入昌史)

網走から釧路まで、通して乗ると3時間半以上かかるこれまた途方もないローカル線だが、観光路線としては一級品である。

夏には「くしろ湿原ノロッコ号」、冬には「流氷物語号」「SL冬の湿原号」といった観光列車が走り、インバウンド華やかなりし頃には小さな車内がぎっしりと外国人観光客で満員になっていたものだ。

数年前の冬、釧路から網走まで通して乗ったことがあるが、満員の車内で最後まで座ることができず、絶望的な気持ちになったことを思い出す。

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