広大な大地を旅したい、北海道ご当地鉄道事情 道東・道北で長距離列車を思う存分満喫しよう

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途中、岩見沢駅では室蘭本線、滝川駅では根室本線、深川駅では留萌本線を分ける。分ける、といってもそれほど大げさなものではなくて、いずれも「本線」を名乗りながらも超のつくローカル線である。

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室蘭本線と根室本線はかつて夕張山地の炭鉱路線として栄えていた時代には大いににぎわった大動脈であったが、炭鉱が姿を消してからはローカル線に格を落とした。ほかにも函館本線からは幌内線・上砂川支線・歌志内線といった支線がいくつも分かれていて、石炭を運んでいた。とりわけ根室本線の滝川から先は、空知川沿いに赤平・芦別といった炭鉱の街が続く。かつては栄華を誇ったそれらの町も、今や日本有数の過疎の町。北海道、そして近代以降の地方都市の栄枯盛衰の歴史がここに詰まっているのだ。

深川駅から日本海側に向けて延びている留萌本線は、2016年に末端の留萌―増毛間が廃止されたローカル線。これまたかつては石炭輸送、そしてニシン漁で栄えた港町・留萌からの水産物輸送でにぎわった。山間の恵比島駅は朝ドラ『すずらん』では明日萌駅として登場した朝ドラファンにとっての聖地の1つだが、作中と同じく往年の面影はほとんど残っていない。

道北の交通の要衝

ちなみに、深川駅からは深名線、留萌線終点の留萌駅からは羽幌線といったローカル線が延びていたことがあったが、どれもとうの昔に廃止された。北海道の鉄道の旅は、廃線の後を追いかける旅でもあるのだ。

と、消えた炭鉱路線の栄華に思いを馳せているうちに函館本線の特急は神居古潭の渓谷を抜けて上川盆地の中核・旭川駅へたどり着く。路線としては函館駅に端を発した長大なる函館本線の終点である。

宗谷本線の終着にして最北端の駅・稚内。駅ビルには映画館も入居している(撮影:鼠入昌史)

この旭川駅は、函館本線のほかに3つの路線が分かれている交通の要衝になっている。1つは、ひたすら北を目指して走る宗谷本線。特急「宗谷」「サロベツ」に乗って最北端の稚内駅までは実に3時間半以上。途中では士別や名寄、音威子府といった町を通り、天塩川に沿いながらサロベツ原野、そして海の向こうの利尻富士を眺めて最北へ。稚内駅からはかつて樺太と結ぶ稚泊連絡船が続いていたが、敗戦とともに役割を終えている。

宗谷本線の旭川駅からそう遠くない峠に塩狩という駅がある。三浦綾子の名著『塩狩峠』の舞台になった秘境の駅だ。明治の終わり頃に暴走した列車を身を挺して停めた長野政雄という鉄道職員がいて、その出来事がもとになっている。

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