広大な大地を旅したい、北海道ご当地鉄道事情 道東・道北で長距離列車を思う存分満喫しよう

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この釧網本線と並ぶ北海道の観光路線と言えば、旭川駅で函館本線から分かれる第3の路線・富良野線である。

丘の町・美瑛をゆく富良野線(撮影:鼠入昌史)

その名の通り富良野を目指して走るローカル線で、途中には同じく観光地として名高い丘の町・美瑛を通る。ラベンダーが咲き誇る時期には「富良野・美瑛ノロッコ号」が走るのも観光路線ならではといっていい。

ただ、そんな観光路線も利用状況は芳しくないようだ。何しろ、富良野あたりならば札幌観光から足を延ばしてもレンタカーでなんとか対応できる範囲。富良野観光はたいてい初夏から夏にかけてが人気のシーズンだから、雪がどうこうというのがあまり関係ないかもしれない。

『北の国から』を見たことがある人なら先刻承知だろうが、冬の富良野はとにかく寒く、とにかく雪深い。真冬に富良野を歩いて遭難しかけた経験を持つ友人がいるが、やはりそんなリスクがあるから冬の北海道の旅は鉄道を使うのがいちばんなのだ。

札幌から走る特急の終着

さて、改めて釧網本線で網走からたどり着いた釧路駅に戻ろう。釧路駅は札幌から石勝線経由で走る特急「おおぞら」の終点である。

特急「おおぞら」は札幌駅から千歳線南千歳駅を介して石勝線に入り、狩勝峠を越えて十勝平野へ。帯広を経て池田・白糠などを通って約4時間かけて釧路駅に着く。札幌―帯広間の特急が「とかち」、釧路までやってくるのが「おおぞら」と名前が使い分けられている。

石勝線から根室本線にかけては特急「とかち」「おおぞら」が活躍(撮影:鼠入昌史)

「おおぞら」の名は1961年に函館―旭川間で運行を開始した北海道初の特急列車にはじまる。それまで函館を起点とする道内の長距離列車は山線経由が主流だったが、「おおぞら」登場以降は海線が主役の座を奪うことになった。運行区間を何度か変更したのちに1981年の石勝線開通を契機に現在の運行区間が定着している。

もともと道央から道東への鉄道ルートは函館本線で滝川駅に向かったあとに根室本線に入って再び南下して狩勝峠を越えていた。狩勝峠越えは絶景の車窓がよく知られていたという。が、どう考えても遠回りであって、山岳地帯をほとんどトンネルでぶち抜く石勝線が開通するとそちらのほうが滝川経由よりもよほど早い。そんなわけで、石勝線の開通とともに「おおぞら」はルートを変えることになったのだが、結果としてこれが根室本線滝川―新得間の地位低下にもつながってしまった。

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