肉・魚・卵・乳製品をあまり食べてない人の超盲点 タンパク質に対する食欲が総摂取量を左右する

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タンパク質欲は、脂肪と炭水化物の比重が高まる現在の食世界で、タンパク質の摂取目標を達成するために過剰なカロリーを摂取するよう、私たちを駆り立てているかのようだ。

事実、1961年から2000年にかけて、アメリカの平均的な食事組成におけるタンパク質の比率は14%から12.5%に低下した。このタンパク質比率の低下した食事でタンパク質欲を満たすには、総摂取カロリーを13%増やすしかなく、これがカロリー余剰と体重増加という結果となって表れているのである。

現代人は極端にタンパク質を食べない

典型的な現代人の食事は、脂肪と炭水化物が85%以上を占め、タンパク質比率が旧石器時代の人の半分しかないとの試算もある。この背景にあるのは、私たちが「タンパク質以外を選択している」のではなく、「タンパク質以外しか選べない」状況がある。

今、スーパーで並ぶ食品の多くが、「タンパク質を希釈した加工食品」であふれている。食品の加工が複雑になればなるほど、タンパク質の含有量は少なくなることが判明している。ではなぜ、食品メーカーはこぞってタンパク質を希釈するのか。その理由は「コスト」にある。

アメリカとオーストラリアのスーパーで106品目の食品を選び、それぞれの価格と栄養成分を記録し、脂肪・炭水化物・タンパク質のそれぞれの含有量が各食品の価格にどれだけ影響しているかを計算した。

結果、脂肪含有量は食品価格にほとんど影響をおよぼさなかった。つまり、脂肪から得られるカロリーは、価格押し上げ効果が非常に小さかった。

他方、タンパク質が多いほど商品の価格は上昇した。驚くべきことに、炭水化物はかえって価格を下げた。炭水化物が多く含まれる食品ほど、価格が安かったのだ。

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