2022年はいよいよ「深刻な危機」がやってきそうだ 株式市場が伝える「インフレ懸念」の「真実」とは?

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しかし、年度代表馬の決定は非常に悩ましいか、というと、実はそうではない。競馬界には明確な基準がある。それは獲得賞金だ。そう。競馬こそ資本主義中の資本主義。金がすべてなのである。

騎手も種馬も最多勝ではなく、最多獲得賞金である。まあゴルフも同じだが。となると、どの馬がなるのか。計算は省略するが、このときに、有馬記念が、トリッキーレースにもかかわらず、最高賞金水準なので、有馬を勝った馬が有力になる、というのが問題なのだ。前にも書いたが、有馬の賞金の半減を提案する(しつこいが)。

2歳牡馬G1、朝日FSの本命はジオグリフを指名

ああ、今週の予想。忘れていた。朝日杯フューチュリティステークス(FS)。2歳牡馬のG1。かんべえ氏(吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミスト)が、ご親切にも「私が紹介した『上海馬券王の阪神JFの鉄則』は、朝日FSにも使えるかもしれませんよ」とおせっかいなメールを送ってきた。

そんな人のアドバイスを素直に受け入れるような小幡績なら、こんなに生きるのに苦労していない。私は、上海馬券王の鉄則に真っ向から反して、ジオグリフを本命にする。

馬券王は「夏までの実績はまったくあてにならない。直近の成績を重視せよ」と言っている。それは当然で、2歳の夏までは仕上がりさえ早ければ、ほかの馬に比べて勝ってしまうだけで、秋を超えて成長してきた青年たちにとっては無関係な実績、ということである。

しかし、あえて、夏の札幌2歳を圧勝したジオグリフから考えたい。なぜなら、今回の出走馬で、将来、種牡馬の歴史に残るとすれば、この馬だからだ。サラブレッドはエリート血統で、かつ勝ち続けた馬が種馬でも勝ち続ける。それが王道の世界なのだ。

さらに、近年は、厩舎よりも生産者が力を持つようになり、社台グループが福島の天栄にあるトレーニングセンターで仕上げるようになった。だから、夏までに勝ち上がっておいて秋はゆったり過ごして、放牧で成長させ、大きなレース、経験として意味のあるレースだけを選んで使ってくる、というのが、エリート中のエリートコースとして、新しい令和の鉄則、いや常識になる可能性があるからだ。

今回、ジオグリフが勝てば、まさに札幌2歳ステークスを勝って、休養、そして今回の朝日FS。これが今後のエリートの王道コースとなっていくだろう。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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