もちろん同社でも、コンテストのようなものはたまに行われます。ただ、その場合でも、30人の中で1位は誰なのか、というような「相対競争」は一切やりません。あくまでも、その人が自分の掲げた目標を超えられたかどうかを「絶対競争」として競うのです。
自分の目指す目標を超えたら1位、到達したら2位。だから、1位が同時に何名もいる場合もあります。同僚をライバルにすると競争へのモチベーションが上がってエネルギーは出ますが、同時に弊害も出てきてしまいます。他人をライバルにするのではなく、自分をライバルにする。それが横田さんのやり方なのです。
また、経営の世界で使われがちな「革新」という言葉、使わないというこだわりがあるそうです。
ジャンプアップでなく、日々の積み重ね
「私は『革新』よりも『進化』という言葉を使います。組織ではよく『○○革新』などと言いますよね。でも、革新と言いながら結局何も変わらないことがほとんどです。なぜそうなるかというと、革新という言葉の本質を分かっていないからです。革新とはこれまでの習慣・制度・状態・考え方などを劇的に変えてしまうとういこと。つまり過去を否定するということになります。日頃から進化し続けていれば、ある日突然ジャンプアップ(革新)しなくてもよいはずです。
革新をしなければならないというのは、昨日までの自分たちが一段低いところにいた、というのを認めているのと同じことです。その考えは前向きではありません。本当に大事なのは、昨日までの自分たちを否定せず、組織も人も柔軟に変わり続けること。それが『進化』です」(横田さん)
「競争より共創」「縦のグラフではなく横のグラフ」「革新より進化」……少しお話をうかがっただけでも、横田さんの口から印象的なフレーズがたくさん出てきました。確かに旧来の常識とは反するように見えることもたくさんありますが、これだけ大胆かつ的確な経営方針を持っているからこそ、理想的な組織作りができているのでしょう。
次回は、実際に働いている女性社員の声も聞きながら、ネッツ南国株式会社の強さの秘密について、さらに掘り下げて考えてみたいと思います。
(構成:ラリー遠田/撮影:斉藤由佳・ビスタワークス研究所)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら