確かに、人柄が良いのに越したことはありません。でも、厳しい競争にさらされている業界では、他人を押しのけてでも結果を出そうとするハングリー精神も時には必要になる気がします。単なるお人好しでは対応できない場面も出てくるのではないか……。この問題に関しても、横田さんは答えを持っていました。
営業職なのに、競争をしなくてもいい?
「会社とは何のために存在するのでしょうか? それは、社員を幸福にするためです。このことはどんな経営者でも分かっているはず。ただ、分かっていてもそれができていない人が多いのです。
社員が幸せに働くためには、人柄のいい人が集まらなくてはいけないのです。一緒に働く人を思いやる気持ちがなければ、幸せを感じることはできません。
確かに、人柄のいい人の中には『意欲の低い人』や『ハングリー精神に欠ける人』もいます。でも、私はそれでいいと思っているのです。ハングリー精神のある人は、目標のために他の誰かを犠牲にすることもあるでしょう。
特に、営業職の人財を採用するときには、そういうガツガツした気持ちを持っている人を選びたくなってしまうかもしれません。でも、そういう人は競争の中で必ず誰かを蹴落としたり、足を引っ張ったりしてしまう。それではいい組織は作れないのではないかと思います」(横田さん)
営業職でも競争しなくていい? あまりに常識外れな話です。でも、これこそが横田さんのこだわり。たとえ営業職であっても、競争を駆り立てるようなことはしないというのです。
「『競争よりも共創』というのが私のモットー。営業職だと、普通は『縦のグラフ』で誰が成績優秀かを競わせて、士気を高めようとしますよね。でも、当社では社員同士を比較する『縦のグラフ』は存在せず、個々人が自分なりの目標を目指す『横のグラフ』があるだけなんです。
縦のグラフだと、その営業パーソンの販売台数をそのままカウントすることになります。一方、当社では、横のグラフを作って、それぞれの目標を定めています。その人の過去の実績、経験年数、年齢を加味して横のグラフを均等割りにしています。
横のグラフでは『他人を蹴落としてでも数字を残さなくては!』という余分なプレッシャーがかかりません。だから、競争するより共にチームを創り上げるという風土が自然にできていくのです」(横田さん)
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