データ「集めて分析」だけの人が知らない真の価値 観戦チケットの価格設定にもデータサイエンス

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処方箋まで用意するためには、データ間の関係を数式で表し、各データの条件を変えながら、様々なパターンで、結果を効率的に計算したり、シミュレーションすることが重要となる。

例えば、企業の広告媒体にかけるコストと効果を題材に考えてみる。従来の広告は、テレビや新聞などのマスメディアが中心だったが、Webメディアやソーシャルメディアなどのデジタルメディアの登場により、広告媒体の多様化が進んでいる。そのため、広告媒体毎の予算配分の最適化について関心が集まっている。“売上を最大化する広告予算の配分は何か?”という処方箋を導きだす必要があるのだ。

そのためには「テレビCMに何回接触すると商品を知ってもらえるか」や「テレビCMとWebメディアの両方で接触すると買いたくなるか」などを知る必要がある。そこで広告の出稿量と売上の推移を比較したり、消費者調査を行うことで、コストと効果の関係を数式で表すことができる。「広告全体にかけられる予算」という制約条件を満たしつつ、「商品の売上」を最大にする最適な広告予算の配分を求めることができる。

分析ツールも進化、専門外でも扱えるように

このような計算のためには、以前は高度な専門的知識が求められていたが、最近は、作業を簡易化するツールも増え、専門的知識を持たないビジネスユーザーでもできるようになってきている。

株式会社データビークルが提供する分析ツール「dataDiver」は、大量のデータから、統計的に意味のあるところを見つけ、分かりやすいグラフと表現でその結果を伝えてくれるツールだ。どのような手を打つことで、どのような結果が得られるかをシミュレーションする機能も提供されている。

例えば、ペットボトルのお茶の売上について、数あるデータの中から売上に関係が深いデータとして「ドリンクコーナーでの陳列数」を導き出し、陳列数を2列から3列に増やすことで、売上がどれぐらい伸びるのかもシミュレーションできる。

データを分析・予測するだけではなく、データサイエンスで処方箋まで提供する流れは、こうしたツールがより浸透していくことで今後も加速していくだろう。

鷺森 崇 野村総合研究所 エキスパートリサーチャー

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さぎもり たかし / Takashi Sagimori

野村総合研究所DX基盤事業本部IT基盤技術戦略室、エキスパートリサーチャー。2001年に野村総合研究所入社。コンサルタントとして、産業・流通分野における先進的なIT技術の調査、SCM/CRMコンサルティング、アナリティクス、新規事業・DX推進活動に従事。専門はデータサイエンス、機械学習プラットフォーム、AIアシスタント技術、RFID、ロケーションテクノロジー、リテール業界のITサービスなど。

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