「自己愛の低い人」が幸せになるたった1つの方法 子が親に贈る「自分の人生を創る」ライフシフト

拡大
縮小

母は母で、元々銀行員でしたが、そこから自分のやりたいことを実現しようとフリーアナウンサーに転身しました。今ではベビーシッターや結婚式の司会者など複数の仕事を掛け持ちしながら、パラレルキャリアの道を歩んでいます。

両親が当時僕に、「教育→仕事→引退」という3ステージの人生を歩むよう勧めていたのは、それが幸福な人生を送ることだと思っていたからです。しかし、2冊の『ライフ・シフト』には、それが幸福につながっていくわけではないということが網羅的に書かれています。

本書にあるように、人間関係、健康、自分のキャリアを100年人生においてどう実現していくかといった所に、その人のいきいきとした姿が見えるわけですし、実際にマルチステージの人生を歩む息子を見て、「こっちのほうがよさそうじゃないか」と感じてもらうこともできたのだと思います。

新しい人生、新しい生き方に対する上の世代の方の理解は、こうして進んでいくのではないかとも思いました。

対話により「人生の主人公」になる

僕の会社は、「人生の主人公を増やす」というミッションのもと、「相談」のインフラであるKakedasというキャリア向けプラットフォームを提供しています。このサービスは、まさに『ライフ・シフト2』で描かれている生き方をエンパワメントしていくツールです。「人生の主人公」は、本書でいう「社会的開拓者」そのものでもあります。

これまでの社会は、終身雇用が前提となった完全な「メンバーシップ型」でした。その中では、1人ひとりが自らキャリアを考えなくても、会社の中でどんどん仕事のローテーションが進んでいきました。

しかし今では、「ジョブ型」雇用への移行に伴い、その会社のビジョンやミッションを、自分が起点になって、主体的に創造しなければならなくなってきました。

どうすればそんな行動変容ができるのか。

それは、本書に書かれているように、「自分がどんなストーリーの中で生きているのか」という自己像を確立することです。自己像は、他者との対話によって解像度を高めていくことができます。僕が作ってきたのは、そのためのツールですから、意義深さを感じました。

対話のためには他者が必要で、本書では、それを幸福に直結する親密な関係性として描いています。ただ僕は、ここについては、よく言われる「友情」とはまた別のものと考えています。

友達の前で、自分の話だけをし続けることはできません。かと言って、会社でそれができるかというと、上司がどう思うかなどもあって、なかなか言い出しにくい。家族や親密なパートナーとなると、今度は、深すぎる関係性がかえって妨げになり、逆に表現できないこともあるでしょう。

次ページ第三者のコミュニティだからこそできること
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT