「サラダ無人販売」がランチ時間にもたらす革命 商品を取り出して、スマホでネット決済する

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種類は店頭で扱っているものと同じ、8種類。

CRISP SALAD WORKSの人気サラダ、クラシック・チキンシーザー1295円(筆者撮影)

価格はこれまでサラダの種類によって異なっていたが、CRISP STATIONで価格統一したのを機に、店頭でも全品1295円に統一した。人気のクラシック・チキンシーザーや、ナッツ、豆腐の入ったENC(EARTHY NUTTY CRUNCHY)など、以前より高くなった商品もあるが、ほとんどは前よりお得な価格で購入できるようになった。

価格統一の意図はどこにあるのだろうか。

「お客様全体の利用頻度を上げていくことが狙いです。というのは、蓄積した購入者データから、いろいろな種類のサラダを買う人ほど利用頻度が高いことがわかったからです。そうでない人は、好みの問題もあるかもしれませんが、高い商品を買わないと決めているのかもしれない。価格が同じであれば、お客様がその都度、本当に食べたいものを選べるのではないか、と考えました」

実際の反響は?

実際の反響はというと、CRISP STATIONをスタートして2週間で1000個の売り上げがあったという。リピーター率を調べたところ、1人あたりの利用回数が1.4回のため、売れたうちおよそ500個はリピーターによる購入ということになる。

「お客様にヒアリングすると、クリスプがもともと好きという方もいますが、『気になっていたけど食べたことがなかった』『いつか行こうと思って忘れてしまっていた』という方も一定数いた。つまり新しい業態により、クリスプにコミットしてくれるお客様層を広げられたわけです」

課題は在庫管理。数カ月運用してユーザーデータを蓄積し、在庫最適化を図っていくそうだ。

また今後の展開としては、まずは数千人規模のオフィスビルなどニーズが見込める場所や、デパ地下などを対象に増やしていきたいという。CRISP STATIONでは、必要なのは冷蔵庫を置くスペースだけなので、店舗に比べると設備投資が格段に低い。「購入時のストレスをなくす」という新たなサービス品質を提案したCRISP STATION。今後増えていくことにより、オフィス街でのランチ難民救済に貢献してくれそうだ。宮野氏の言う「ランチ待ち時間の経済損失」改善も期待できるかもしれない。

圓岡 志麻 フリーライター

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まるおか しま / Shima Maruoka

1996年東京都立大学人文学部史学科を卒業。トラック・物流業界誌出版社での記者5年を経てフリーに。得意分野は健康・美容、人物、企業取材など。最近では食関連の仕事が増える一方、世の多くの女性と共通の課題に立ち向かっては挫折する日々。contact:linkedin Shima Maruoka

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