商船三井流「ばくち経営」、新社長が挑む勝率上げ

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これらの体験を基に、情報収集力をさらに高める「コンパス会」が設置された。事業部門ごとに課長以上を集め、現場情報を社長が直接吸い上げるほか、その部門の方向性を定めるために意見を戦わす。6月29日から週2部門の開催で、1カ月半で1回転。それを何回転も繰り返す。

「歴史観や世界観、経済の知識を総動員して現場の情報を一覧すると、それまでとは違った絵が見えてくる。勘も鍛えられる。最後の最後は経営者の勘だから、海運会社の経営判断がばくちなのは昔も今も変わらないが、コンパス会でその勝率を上げる」と武藤社長は意気込む。

ばくちとはリスクテイク “長契=安泰”ではない

商船三井流ばくち経営への批判は、ケープサイズのフリーポーションの高さにもある。日本郵船や川崎汽船がスポット運賃での運航比率を1割以下に抑えているのに対し、商船三井は2割強だ(下グラフ)。隻数にして商船三井が約30隻、日本郵船が約10隻。この約20隻の差が収益力格差を生んでいるが、「市場リスクを取って収益を得ている」と安岡専務に悪びれる様子はない。 

 

ケープサイズの1日当たりの市況運賃は10万ドル近くから1万ドル未満まで大きく振れる(下グラフ)。採算ラインは2万~3万ドル。スポット運賃は市場動向を予測しながら荷主と相対で決めている。採算線よりも高い契約を増やし、安い契約を減らさなければ利益は増えない。 

 
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