商船三井流「ばくち経営」、新社長が挑む勝率上げ

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芦田時代の営業利益は在任6年の累積で1兆0219億円。2000億円台だった生田氏や鈴木邦雄氏の社長時代の4倍以上だ。新中計は芦田時代に匹敵する約1兆円の利益計上を武藤社長に求める(下グラフ)。 

 

商船三井を首位に押し上げた最大の要因は、「大ばくち」と同業他社に揶揄された鈴木社長時代のケープサイズ(大型バラ積み船)の大量発注にさかのぼる。03年当時、海運市況の低迷を背景とした安い船価で発注、その後に竣工した船が芦田時代の高収益の源となった。

商船三井の高収益ぶりを同業他社は、「中国の鉄鉱石需要がたまたま爆発的に伸び、長期化したからにすぎない。ばくちが大当たりしただけ」とねたむ。一方で、「12年頃には船主(=船の保有専門会社)との有利な用船契約が切れる。12年には商船三井は利益首位から転落する」とほくそ笑む。

海運会社は、船が竣工すると、自社で保有するか、バランスシートを軽くするためにいったん船主に売却してから用船している。

バラ積み船担当の安岡正文専務は、「今振り返れば、ケープサイズを大量発注した03年当時に、中国の鉄鉱石輸入量が年1億トンからわずか数年で年6億トンになるとは正直思わなかった」と素直に認める。一方で、「船主との有利な契約は08年時点で切れるなど、用船での先行者利益はもう終わっている。だが、自社保有船での先行者利益は竣工から少なくとも(法定耐用年数の)15年間は続く」と“12年首位転落説”を否定する。

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