商船三井流「ばくち経営」、新社長が挑む勝率上げ

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商船三井流「ばくち経営」、新社長が挑む勝率上げ

ばくち好きな会社が社長人事で大ばくちを打った--。

同業他社はあきれ顔だ。海運大手3社の一角、商船三井で「最年少社長」が誕生したからだ。6月に就任した武藤光一社長は56歳。初の戦後生まれの社長で、三井船舶と大阪商船の合併後では故・転法輪奏氏や生田正治氏らの最年少就任記録を3歳更新した。

大手3社でも日本郵船の工藤泰三社長より1歳、川崎汽船の黒谷研一社長より8歳若い。最年少取締役からの抜擢で、就任後も武藤社長より年下の取締役は新任の渡辺律夫常務のみだ(下表)。

日本海軍にいた父親の影響で海運を志し、名古屋大学経済学部を卒業後に前身の大阪商船三井船舶に入社した。祖父は戦中・戦後にたくあんで財を成した実業家。戦火で中国の倉庫が大破するなど壊滅的な打撃を受けたが、合成甘味料・サッカリンの添加で再起した捲土重来の人物だ。

前任の芦田昭充会長がコンテナ船など定期船畑出身なのに対し、武藤社長は激しい市況変動にさらされるバラ積み船など不定期船畑が長い。その武藤社長が仕掛けるのが、曰く「ばくちの勝率を上げる経営」だ。 

 

首位奪還の陰に緻密さも「12年転落説」を否定

万年2位だった商船三井が首位に上り詰めたのは、芦田会長の社長時代のことだった。営業利益は2004年3月期から7期連続で国内海運首位をキープし現在も記録更新中。高収益を背景に財務改善が進む好循環が働き、現在では日本郵船や川崎汽船など海運大手3社の中で財務内容が最も良い。高収益・好財務を市場は評価し、時価総額でも1年以上前から国内海運トップをひた走る。船隊規模はいまや世界一だ。

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