米テスラモーターズが描く電気自動車革命 高級セダン「モデルS」の日本納車を開始

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「モデルS」の車内。エアコンやルーフパネルの操作などはすべてダッシュボードの中心にあるタッチパネル式液晶モニターで行う

シリコンバレーのベンチャーらしく、車内環境のIT化にも余念がない。エアコンやルーフパネルの操作、音楽の再生、地図や後方カメラ映像の表示は、すべてダッシュボードの中心に配置されている17インチのタッチパネル式液晶モニターで行う。アップルのiPadが2つ並べられたくらいの大きさだ。

車の制御を統合するソフトウエアはNTTドコモの3G回線で常時接続され、自動的に更新される。日本向けのモデルSには納車開始時点でナビゲーション機能がなく、「グーグルマップ」が表示されるだけだ。これに対しマスクCEOは「今後2~3か月の間にナビゲーションもネットを介して追加する」と記者会見で説明した。

量産車開発に向けたマスタープラン

「スーパーチャージャー」は15年末までに全国20カ所に設置する計画

またテスラは同日、独自の急速充電器「スーパーチャージャー」を日本で初公開した。20分で電池容量の半分を充電できる。「モデルSのオーナーは、この先もずっと無料で使うことができる」(マスクCEO)。第1号機は六本木のホテル「グランドハイアット東京」に据え付けられた。2015年末までには全国20カ所前後まで拡大する計画だ。

持続可能な輸送手段の普及――。03年に設立されたテスラに翌年出資し、取締役会長に就任して以来(08年からCEOを兼務)、マスクCEOの最終目標はブレていない。それに向けた成長シナリオは、06年8月に同社のブログで公開した「シークレット・マスタープラン」に示されている。

まず高級スポーツカーを作り、それを販売して得た資金で手頃な値段の車を作る。さらにそれを販売して得た資金で、もっと手頃な値段の車を作る…というのがその内容だ。つまり、より安価な車を開発することでEVの普及を図る考えだが、そのためにはまず高級車でブランドを確立し、資金を得るというわけだ。

このプランに沿って最初に発売したのが、2人乗りオープンカーの「ロードスター」。12年に高級セダンのモデルSの販売を始め、来年は高級SUV(スポーツ多目的車)「モデルX」の投入を予定する。さらに、17年以降には、モデルSの半額以下となる、3万5000ドル(約350万円)の「モデル3」を発売する計画だ。

モデルSは12年6月に米国で発売され、現在では欧州や中国でも販売されており、累計約4万台を売り上げている。量産されているテスラの唯一のモデルだ。今年の世界販売台数は前年比56%増の3万5000台を見込んでいる。

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