後発医薬品レースで二極分化する調剤薬局
ところが普及率が20%に満たず足踏みしていたことから、厚労省は従来の処方箋ベースを見直し、ハードルの高い数量ベースに改めたうえで加算金額を引き上げた。その結果、多くの薬局がいったん加算を継続できなくなった一方、後発医薬品を積極的に調剤してきた一部の薬局が大きな恩恵を受けている。
調剤薬局大手の日本調剤は昨年10月時点で、後発医薬品の数量シェアが30%を超えていた。そこに、今回の加算見直し措置が加わった。同社の場合、4月末時点で17点を算定できる店舗が全店舗の69%、13点が7%に達している。結果、4月時点で、月6860万円の売り上げ増につながった。
製薬企業が事業を活発化 依然として低い普及率
後発医薬品メーカーにとっても、普及促進策が追い風であることは間違いない。現に出荷は大幅に増加している。業界大手の日医工は調剤薬局向けの納入額が急増。4月は前年同月比44%増、5月は32%増となった。同じ大手の沢井製薬では、調剤薬局向けおよび病院向けの納入額について、今11年3月期に各40%増、30%増を見込んでいる。
後発医薬品市場のさらなる拡大を見越して、外資の参入や提携も活発化している。後発品世界最大手のテバ(イスラエル)は、合弁会社である興和テバを通じて中堅の後発品メーカーを買収。海外からの製品輸入にも踏み切る。日医工は、大手製薬のサノフィ・アベンティス(フランス)と合弁会社を設立し、資本も受け入れた。
新薬メーカーでは、世界最大手のファイザーが、長期収載品(特許が切れた先発医薬品)および他社製の後発医薬品を国内で積極的に拡販していく方針を表明。第一三共も後発医薬品への対抗策として、10月から長期収載品の販売を専門とする子会社の営業を開始する。異業種では富士フイルムホールディングスが、三菱商事や大手医薬品卸の東邦ホールディングスと組んで後発品市場に参入した。