後発医薬品レースで二極分化する調剤薬局

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 この薬局でも、医師の判断がネックになっているという。「処方箋を多く出す診療所で、変更不可のサインが多い。そのためなかなか加算取得の要件に達しない」(同薬局長)。また新薬の場合には、薬価差益(仕入れ価格と公定薬価との差額)が見込めるのに対し、「後発医薬品の場合は加算が取れても薬価差益が小さい。そろばん勘定だと言われればそのとおりだが、努力して普及に取り組んでも、次の診療報酬改定の際に、厚労省から加算見直しの仕打ちを受ける心配もある」(同薬局長)。

零細な薬局の中には、はなから後発医薬品をほとんど扱っていない薬局も少なくない。「後発医薬品を扱うと在庫が大幅に膨らむ。薬剤師が私一人しかいないので、対応そのものができない。後発医薬品を求める患者さんには、近所のほかの薬局に行ってもらっている」(東京都東部地区にある薬局の薬剤師)。

ある区の薬剤師会理事は、こうした実態に警鐘を鳴らす。

「中小零細では加算は『取れない』と思っているか、無関心の薬局が多い。しかし今後、患者負担の差が認識されるようになると『薬代が安い』ということで、積極的に取り組むチェーン薬局に患者さんが流れることになりかねない」

後発医薬品には、さまざまな課題も指摘されている。今年3月、業界大手の大洋薬品工業で承認規格外製品の出荷(薬事法違反)が発覚するなど、品質管理体制に疑問が持たれていることも確かだ。また、副作用があった場合の対応への不安も指摘されている。メーカーと薬局には、患者の信頼を得るためのさらなる努力が求められている。

(岡田広行 撮影:尾形文繁、大澤 誠 =週刊東洋経済2010年7月31日号)

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