1万個売り上げた「ご当地レトルトカレー」の正体 冷たいままおいしく食べられる「消防カレー」

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消防カレーを開発するにあたって、まずは署員たちからレシピを集めた。赤と橙、2色のルーとご飯のそれぞれの色で消防とレスキュー、救急を表現したものや、ナスの素揚げの両端に2本の串を刺してハシゴや揚げたきしめんで作った火消し組の目印である纏(まとい)をトッピングしたカレーなど楽しいレシピが寄せられた。

幸田町役場産業振興課の春日井幸弘さん(左)と幸田町消防本部庶務課の新實直哉さん(筆者撮影)

それらを審査したのが、名古屋と東京の2拠点で料理研究家として活動する長田絢さん。さらに、彼女は審査したカレーをベースにレシピを考案。幸田町の特産品の中から、ナスとイチジク、筆先の形をした甘みの強い筆柿、町内の養豚場で飼育されているブランド豚、夢やまびこ豚を選び、厳選したスパイスと合わせた。

冷めてもおいしく食べられるのが絶対条件

「署員の方が火事や救急の現場から帰ってきてから食べかけの料理を食べることもあるとお聞きしました。冷めてもおいしく食べられるカレーが私の中で絶対条件でした。また、日々の厳しい訓練のエネルギー補給にもなればと思い、カロリーよりも味を優先させました」と、長田さん。

これが完成した消防カレー。小麦粉をバターで炒めたルーを使うと冷めると脂が固まってしまうため、数年前からブームとなっているスパイスカレーを採用した。幸田町の特産品であるナスの素揚げと夢やまびこ豚を使用したとんかつもトッピングされている。

実際に食べてみたが、いわゆる家庭のカレーライスとはまったく違う。とはいえ、本格的なインドやスリランカのカレーでもない。ベースとなるダシとスパイスが複雑に絡み合いながらも見事に調和がとれている。また、辛さの中にほのかな甘みもある。おそらく、これがイチジクと筆柿だろう。実に素朴な味わいに仕上がっている。

「スパイスは、カルダモンやクローブ、シナモン、黒コショウ、クミンシード、マスタードシードなどを使い、複雑な味を表現しました。その反面、ダシは、煮干しと昆布、鰹節、切り干し大根を使った和風ダシですから、どこか親しみのある味に仕上がっています」(長田さん)

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