Netflixとアマプラがぶち壊した「番組の国境」 あらゆる国の映像作品を現地の言語で楽しめる
Netflixの制作で予算の大きな映画や連続ドラマが日本でも作られるようになったのと同じように、日本でヒットした番組企画・演出が、海外へと輸出され成功を収め始めている。
中でも最も大きな成功を収めているのが松本人志の『ドキュメンタル』だ。
日本での再生回数急伸が、Amazonプライムビデオの各国マーケティングチームの目に留まり、各国言語の字幕入りで配信が始まると”笑ってはいけない”というユニークなフォーマットが話題を呼び、オーストラリアやドイツなどで現地制作が始まった。
現在、日本を含めると10カ国で制作される人気番組となっており、日本のAmazonプライムビデオからも視聴可能だ。ドイツではシーズン3制作がすでに決定済みで、現地のコメディ賞(Deutscher Comedypreis)の「最優秀コメディショー」を受賞。それらすべての番組に「HITOSHI MATSUMOTO」という冠がついている。
国境、人種、文化の壁を越える
映画やドラマだけではなく、フォーマット輸出という以前から成功を収めていたルートでのコンテンツ輸出も、今後は映像配信サービスを経由することが多くなっていくのではないだろうか。
NetflixやAmazonプライムビデオなど世界各国で配信されているサービスでは、他国での視聴動向を見渡すことができる。加えてAIがユーザーの視聴動向から”おすすめ”するため、国境、人種、文化などの壁を越えることができる。
韓国制作のドラマシリーズ『イカゲーム』が世界的な大ヒットとなり、Netflixでグローバル1位を獲得したことは記憶に新しいが、同じく韓国制作の『地獄が呼んでいる』も最近、同じくグローバルでのトップ視聴数を記録した。
日本制作では前出の『全裸監督』も話題になったが、日本発のファンタジーとして『今際の国のアリス』が40カ国でトップ10入り。第2シーズンでのさらなる飛躍が期待されている。
かつて、カンヌの映像コンテンツ見本市(MIPTV、MIPCOM)の取材をしているときには、とりわけ実写作品における人種の壁を強く感じていた。バイヤーたちはリスクを避けるため、登場する俳優が自国民と視覚的に大きく異なる作品を敬遠しがちだった。
前出のNetflix・坂本氏は「どの国、地域の作品かは誰も気にしていない。AIによるおすすめなのか、あるいはキービジュアルが興味を引いているのか。作品ごとに状況は異なるが、スペインや韓国の作品がウケていることを考えれば、かつてのような制約はありません。バイヤーが間に入ることなく、ダイレクトに視聴者につながることで(作品そのものの)良さが受け入れられているのだと思います」と話す。
はた目には、ドラマや映画、アニメが得意なNetflix、リアリティショーやゲームショーが得意なAmazonプライムビデオという構図が透けて見えるが、あくまでも登録しているユーザーが求めるものに、各社が投資をしているというのが正しいだろう。
DVDのレンタルからスタートしたNetflixが連続ドラマや映画に投資するのは理にかなっている。ECサイトの会員向けサービスとしてスタートしたAmazonプライムビデオが、より幅広くバラエティに富んだラインナップになるのも当然だろう。
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