Netflixとアマプラがぶち壊した「番組の国境」 あらゆる国の映像作品を現地の言語で楽しめる
今年4月、東宝との提携で実現した日本に制作スタジオを構えるに至ったことに加え、日本企画のオリジナル作品が増加、今後も次々に制作が予定されていることを考えれば、日本市場(だけではなくNetflixが観られている各国)に対して、ローカル投資を加速させていることは明らかだ。
Netflixの日本法人立ち上げ時から、映像作品の調達やオリジナル作品の企画制作を指揮してきたコンテンツ・アクイジション部門バイス・プレジデントの坂本和隆氏は「(テレビ番組や邦画に比べ)大きな予算を投じて制作されることに注目する声もありますが、クリエイターからは、グローバルのチームで作品作りに取り組めることを評価していただいています」と話す。
高品質なNetflixオリジナル作品
例えば日本制作で海外でも多く視聴されたの連続ドラマ『今際の国のアリス』ではほとんどの街の風景がVFXで描かれているが、それがVFXであることを意識させない高品質だ。
異世界の中に迷い込んだ主人公たちをリアルに描くため、日本人なら誰もが知っている空っぽの東京を高品位に描かなければならない。動物との戦い、水攻めのシーンなど、日本のドラマ制作では考えられないようなシーンばかりが続く。
こうした映像制作が可能になったのは、Netflix本社の制作サポートチームがハリウッド映画やアメリカドラマシリーズの制作実績のあるVFXスタジオを手配。グローバルの制作チームで作品を作っているからだ。
「例えば生きた虎が登場するエピソードがありますが、生々しくリアルな動きの虎を登場させるため、ライフ・オブ・パイ(虎とともに小さな舟で漂流する映画作品)で虎のVFXを担当したチームを探しサポートを依頼しています。世界中にあるさまざまな経験を持つ制作チームを、日本制作の作品でも利用できる体制を整えています」(坂本氏)
Netflixのオリジナル作品は、どれも高品位な映像フォーマットとサラウンドの音声トラック、多数の吹き替え言語と字幕などが用意されるが、それはもちろん日本制作のものも同じだ。
「日本だけではなくNetflixが観られているすべての地域で楽しんでもらえること」(坂本氏)を前提に映像作品に投資を行っているため、そうした映像フォーマット、音声フォーマットはもちろん、作品の質そのものも世界的に通用するものにするという考えがあるという。
”ハリウッド作品並み”という月並みな表現になってしまうのは、世界中で観られているハリウッドの娯楽作品が、すべてのNetflixオリジナル作品のベンチマーク、評価基準になっているためだ。
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