Netflixとアマプラがぶち壊した「番組の国境」 あらゆる国の映像作品を現地の言語で楽しめる
残念ながら新型コロナの影響で延期になってしまったが、村田諒太対ゴロフキンというビッグマッチの中継にテレビ局が絡めず、Amazonプライムビデオが国内での独占配信権を獲得した。
国内の配信サービスもU-NEXTが、テレビ局が手を出しにくい格闘技の試合に力を入れ始めている。先日行われたアメリカ格闘技団体・ベラトールで堀口恭司選手がタイトルマッチを行った際には、U-NEXTが独占配信を行っていた。
いうまでもなく、プロ野球やJリーグ、F1などのファンならDAZNに加入している方も多いだろう。
家電メーカーが開発するテレビ受像機も、テレビを受信して表示するのは当然として、いかに快適にそれらの映像サービスに接続、視聴できるか。新しいサービスに柔軟に対応できるかが重要になってきている。
5年後には”国境”がなくなる
Netflixの坂本氏は「これからの5年で間違いなく起きるのは、映画や連続ドラマの制作、配信で”国境”がなくなるということ」だという。
「以前ならば映画祭などで”誰かに見つけてもらう”ことがなければ、才能を披露する場を得られなかった。『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督がタランティーノ監督に”僕を見つけてくれてありがとう”とコメントしたが、世界中のクリエイティブを可視化することは不可能でした」(坂本氏)
しかし世界中どこからでも、あらゆる国の映像作品を、現地の言語で楽しめることが当たり前になってきた。視聴者にとっての利便性はもちろんだが「作り手も刺激し合え、その成果もランキングという数字で見える。すると才能が見える化し、クリエイター同士のネットワークも広がります。世界の才能ある監督、撮影監督、脚本家、俳優が相互を認識することで、新しいクリエイティブが生まれるでしょう」(坂本氏)とのことだ。
一方、Amazonプライムビデオは2020年、東京国際映画祭と並行して開催されていたコンテンツマーケットTIFFCOMで責任者が基調講演を行い「われわれはさまざまな才能を持つ映像クリエイターの”ホーム”になりたい。日本の才能あふれるクリエイターとともにありたい」と、日本市場への積極投資を意志表明していた。
その成果として東京国際映画祭では今年から若手クリエイターの支援を目的に「Amazon Prime Video テイクワン賞」を制定している。
Amazonスタジオ・アジアパシフィックの責任者、エリカ・ノース氏は「日本のクリエイターが想像もしていなかったような機会を提供したい」とコメントしているが、その言葉の先にあるのはNetflixがそうであるようにグローバルでネットワーク化されたスタジオ機能を、日本からも利用できるようにすることだ。
さて、かなり長くなってしまったが、最初の話に戻ろう。
NetflixやAmazonプライムビデオは黒船なのだろうか? 視点によってはテレビ局に代わって映像作品を消費者に届けるようになった”強者”ではある。しかし、この革命的な変化で最も恩恵を受けるのは才能あるクリエイターたちに違いない。日本のクリエイターだけではなく、世界中のクリエイターがグローバルで活躍する機会が得られる環境が、今年、来年はこれから”当たり前”になっていく。そのスタート地点になるだろう。
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