14位の神姫バスについては、年収がそれほどまでに変動するようには思えないが、実は同社の利益柱は不動産だ。売上比率8%の不動産事業が売上高利益率では35%と他事業を圧倒する。年収ピークは調査始期の2000年3月期で、漸減から低位安定という流れも、同社が地方の不動産業と考えれば納得だ。
電力各社もまだ「年収変動余地」あり?
一方、ランキングの30位を過ぎると機械メーカーが多くなる。業種別のデータ分布を見ると、機械メーカーの全データのばらつき(標準偏差)が特に大きいわけではない。上位に登場する会社は海外比率が高いなど、仕入先や販売先の外生要因による需要変動の波を受けやすいといえよう。一方、安定した取引先を有し、業績の波の小さい機械メーカーも多いということだが、国内需要や今後の成長分野を考えると、必ずしも安定がよいとは限らない。
年収の変動が大きい業種といえば、証券会社など金融機関が多くランクインしそうなものだが、大手は全く登場しない。実は、大手金融機関は調査機関中にほとんど大型再編を経ており、持株会社化などで15年間同一法人としてデータが取れないケースがほとんどだからだ。
38位の旭化成も2003年に持株会社となり、単独の従業員数は同3月期の1万1659人から翌期には979人に激減している。だが、基準の500人以上を満たしており、年収の大幅な変動もなかったため調査対象に含めたものである。
激変度44位には九州電力の名前が見える。電力会社といえば高位安定型の代表選手だが、九電はじめ、沖縄除く9電力中6社で直近14年3月期が年収ボトム(東京電力は13年3月期がボトム)、それも前期からがくんと落としている。もちろんその原因は原発だ。ただ、15年間で見ると上位100社に入ってくるのは九電のみで、まだまだ電力会社の安定度は高い部類に入る。
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