子どもの死因「添い寝が危ない」という衝撃の事実 CDR(チャイルド・デス・レビュー)とは何か

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外因死のなかで交通事故(28.2%)と同率で高い割合だったのが窒息死(28.2%)で、自殺(23.1%)より多かった(下図)。聞き取りなどで明らかになった窒息の原因の多くは、「母親の添い寝、添い乳によるもの」だった。

「実は、このデータを見た後に過去の文献を調べたところ、明治や大正時代の育児書には、〝添い寝や添い乳は危ない〟と書かれていました。それが、昭和以降になると逆に、親子のスキンシップと母親の疲労回復への効果があるとして、一部の医療関係者が勧めるように変わっていたのです」

うっかりで起きる悲劇

小さな子どもと一緒に寝ていたら、あるいは母乳を与えていたら、うっかり寝てしまった。そんな経験を持つ親は少なくないだろう。そのときに、もし自分の体や腕が子どもの口を塞いでしまっていたら……。泣き止まない赤ちゃんを寝かしつけるために行っていた添い寝や添い乳が、わが子を死に至らしめてしまう。

「これは親にとって何よりつらいことです。一方で、1つだけ言えるのは、これは明らかに予防できる死であるということ。CDRで明らかになった根拠をもとに、窒息死は〝予防できる死〟として、母親(父親)学級や妊婦健診などでしっかり伝え、添い寝や添い乳をしないように呼びかける予防策が必要です」

3つめの問題は、自殺だ。2020年に自殺によって亡くなった子の背景を調べている過程で、同県の教育委員会などでは、「過去の自殺未遂歴からリスクの高い子どもを把握している」ことが明らかになった。ただ、それが地域や警察、医療機関などと共有されていなかった。

「自殺の理由はさまざまですが、その子たちを救うには学校だけでなく、地域も含めた多方面の協力が重要です。家庭環境に問題がある場合、児童相談所だけでなく、警察などもっと多くの機関や専門家の介入も必要で、支援の仕方を変えていかなければなりません」

このほかにも、溺死ではフタのない用水路に転落して亡くなった事例、悪天候で増水したときに溺れた事例などがあった。用水路にはフタを設置し、危険な場所での水遊びに対する警告表示などで、予防できる可能性があるとした。

交通事故は歩行中に車に轢かれるケースが多い一方、自転車に乗っているときに起こった事故で死亡するケースも目立ったという。とくに年齢が高いほどその傾向があった。

滋賀県で行われているCDRは、調査員が県内の保健所を訪ね、18歳未満の「死亡小票」を閲覧し、死亡調査票を作る。死亡小票とは、亡くなった際に保健所で作られ、保管される死亡情報のことで、性別、生年月日、死亡日時、死亡した場所、死因、死亡診断書・死体検案書を発行した医師の名前と所属などが書かれている。

これをもとに事務局では台帳を作成、死亡診断、検案を行った医師や法医学部門に調査用紙を配り、亡くなったときの状況を記入してもらう。その結果を委員会が精査し、虐待や自殺が疑われるケースについては、教育機関や児童相談所などに2次調査を実施する。かなり手間がかかる作業だ。

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