子どもの死因「添い寝が危ない」という衝撃の事実 CDR(チャイルド・デス・レビュー)とは何か

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実は滋賀県は、すでに2015年には滋賀医科大学や県の医師会、県警など9機関・団体からなる「県死因究明等推進協議会」を発足し、死因究明に関する問題を話し合ってきた。

そして、今年3月に公表された同県の「2020年度滋賀県CDR体制整備モデル事業報告書」には、2018年~2020年に亡くなった事例131件について、調査、検証結果がまとめられている。その結果が次の通りだ。

もっとも多い死因は…

死因でもっとも多かったのは「病死および自然死」で67.4%、次が「交通事故」で8.5%。その後は「窒息」(7.0%)、「自殺」(6.2%)、「溺水」(3.9%)……と続いた(下図)。死亡場所は「病院」が77.1%と圧倒的に多く、「自宅」と「その他」が同率で10.7%だった。病死と外因死の割合は、2対1だった。

病気で亡くなる理由では、やはり先天性の異常によるものが多かったが、「意外にも、がんが原因で亡くなるお子さんが少なくありませんでした。今回の調査で改めてわかったことです」と一杉さんは言う。

がんは国民の2分の1がかかり、3分の1人はがんで亡くなる。他方、治療は日々進歩を遂げていて、治療を受けることで助かる人たちが増えている。また、がんとともに生きている人も少なくない。

国立がん研究センターによると、日本では年間2000~2500人が小児がんと診断されている。子ども1万人に対し、約1人がかかっている。一杉さんが続ける。

「やはり小児がんのなかには難治性のものもあり、現代の医療技術を駆使しても助からないケースもある。CDRでは、小児がんを診ている小児科医の意見も聞きましたが、こうした『防げない死』に対して、われわれに何ができるか、どんな社会の仕組みが必要なのか、考えるきっかけになりました」

そのうえで、「具体的には、がん治療中の子どもの在宅医療や、自宅での看取りなどの強化で、県として早急に取り組む必要性があると感じた」と話す。

在宅医療というと、今は高齢者が利用しているケースが圧倒的に多い。高齢者と子どもとでは、身体の特徴も違えば、環境も違う。やはり子どもを診るときは、小児医療やケアに精通した医師や看護師であったほうがいい。

「終末期のお子さんが家で暮らせる環境を整えることができれば、最後は病院ではなく、両親やきょうだいと一緒に自宅で過ごす時間をつくってあげられます」

もう1つ、今回の調査、検証で問題となったのが、窒息死だ。

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