ギタリスト「村治佳織」が大病を経て気づいたこと 心は1秒で明るくもなれるし、暗くもなれる

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── 12月1日にはベストアルバム『ミュージック・ギフト・トゥ』をリリースされます。映画音楽を中心に、誰もが知る耳慣れた曲が揃っていますね。

きっと、知らないメロディがひとつもない、という感じですよね。コロナ禍で動けないなか、今しかできないベスト盤を作ろうということで、本当に人々に愛されて、人の癒しにも力にもなるものがいいなと思って、このアルバムを作りました。

── 選曲はどのようにされたのですか。

近年、自分がコンサートでよく弾いてる曲が自然と集まりました。なぜ弾くかっていうと自分が好きだからなんですけど、これらの曲を弾くと、お客様が喜んでくださるのが空気として伝わってくるんです。

とても集中して聴いてくださって、そのあとの拍手も大きい。そんな曲たちばかりです。

── タイトルに「愛」のつく曲が多く入っていますね。

愛は、人の人生における永遠のテーマのひとつだと思うし、愛にあふれた一枚になったと思います。タイトルは、このアルバム自体を贈り物にして、楽しんでいただけたらいいなという気持ちもこめて『ミュージック・ギフト・トゥ』としました。トゥ(to)のあとに、お友達やご家族の名前を書き込んでいただいて、そのままお渡ししてほしいですね。

―─ LEON世代の読者たちにはどんな風に聴いてほしいですか?

「LEON」の読者の皆さんも、全身で感じる刺激的な音楽がささる時期もあったと思うのですが、今後はそれプラス、静かに耳を傾けることもいいなと思える世代になってくるかなと思うんです。そういう時に、クラシックギターというのは余韻が美しい楽器なので、さまざまなメロディをご自分の人生と重ね合わせて、生きる力にしていただければうれしいです。

弾く楽しさも感じてほしい

── 読者の中には、若い頃、バンドを組んでいた人も多いようです。

そういう方には、クラシックギターのナイロン弦の温かい響きもおすすめしたいですね。バンドはみんなとやる楽しさがあるのに対し、クラシックギターは楽器と自分が一対一で、なんでも話を聞いてくれる友達がひとり見つかった、みたいな感じ。未経験の方でも、30分のレッスンを3回やれば両手で弾けるようになります。

── 中年のおじさんでも大丈夫ですかね?

大丈夫ですよ! いきなりFとかのコード弾きはしなくていいです。単音で、きれいな音を出そうと思ってつまびいてる時間も楽しいと思うので。これからは、聴く楽しさに加えて、弾く楽しさも皆さんに感じていただけたらなと思います。

(写真:富井昌弘)
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