ギタリスト「村治佳織」が大病を経て気づいたこと 心は1秒で明るくもなれるし、暗くもなれる

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── ご自身も、大人になるにつれて変化した部分はありますか。

35歳の時に、大病で演奏活動を休養せざるを得なくなったんです。それまでの私は、2年先までコンサートスケジュールが入っている状況がデビュー以来、十数年間続いていて。一つひとつのお仕事はすべて前向きにやっていたのですが、一つ終わると余韻を楽しむことなく次に向かうというマインドだったんですね。

それが、3年間の休養を経て活動を再開する際には、終わった後の余韻までも楽しむことで一つの事を完結するようなスケジュールを組んでいきたいなと思うようになって。一つひとつをじっくり味わうことで、自分の中での残り方も深くなりますし、いいコンサートのためには自分が毎日楽しくできているのが一番なので、練習の時間はもちろんのこと、すべての過程において、その瞬間瞬間を大事にできるようになりました。

(写真:富井昌弘)

見た目の変化に抗うよりも、心を変えていくしかない

── 日常を楽しくするために、どんなことをしているのですか?

例えば、私はおいしいコーヒー1杯でけっこういい気持ちになるので(笑)、この町のここ、みたいなカフェをいくつか見つけておくんです。だから街歩きはホントによくしていますし、そういう方法を日々見つけて工夫していますね。

あと、大人になるにつれての変化といえば、体はどんどん変化していくわけで。10代20代は艶やかになっていく時期でしたけど、30代40代以降は誰もがエイジングしていきますよね。鏡を見ると、「あれっ!?こんなとこにシワがある」とかあるじゃないですか(笑)。

── あります、あります。どう受け止めればいいんでしょう(笑)。

受け入れざるを得ないので、見た目の変化に抗うよりも、心を変えていくしかないですよね。「これも年輪だ」とか、「このシワを美しいと感じない男性は、その人が未熟なんだ」とか(笑)。これぞ心の訓練で、これまで以上に心が試されるんだな~なんて思いながら毎日過ごしています。

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