「VR日産ショールーム」に見るメタバース広報戦略 10年後はメタバースでの発表会が主流に?

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バーチャルなNISSAN CROSSINGの発表会には、星野朝子副社長の全身を3Dスキャンして作られたリアルなアバターが登場し、星野副社長の音声メッセージをさまざまなアバター姿の記者に伝えていた。

「私の所属する日本事業部門は、組織体自体がチャレンジを続けるというマインドセットを強く求められています。私の直属の上司である星野がアバターで出ていくというのも、大きな組織や企業ではないと思うのですけれども、失敗するか成功するかわからないけれど将来の投資ということも踏まえてやってみようということになりました」(遠藤氏)

発表会での星野朝子副社長と記者。VRChat内にはさまざまなアバターが存在し、自由な姿になれる(筆者撮影)

ジェンダーフリーな世界が実現できる

同じくバーチャルの発表会に登壇した遠藤氏。そこには2つの驚きがあった。

「バーチャルの世界ってすごいフラットだな、と感じました。アバターの中にいる方々が、男性なのか女性なのかもわからないし、年代も肩書もわからない。ジェンダーフリーな世界なのではと感じたんですね。またバーチャルなNISSAN CROSSINGは多くのクリエイター・パフォーマーのお力を借りて作り上げたのですが、VRChatというメタバースは年齢も国籍も性別も関係ない中で、実力のある方がいろいろ頑張っておられる。こういう世界があるんだと驚きました。今後、この世界でどういうコミュニケーションが生まれて、発展していくのかというところがとても楽しみですね」(遠藤氏)

VRヘッドセットを用いていると足元が見えにくいとの理由から、装飾の一部をVR向きに変更している(筆者撮影)

今回の取り組みは広告代理店などを介さず、直接VRChatのクリエイター・パフォーマーとコミュニケーションをして進めていった。

「2019年6月に、弊社のエンジニアが開発したアイガモロボを公開しました。日産の制御技術の一部を活用したもので、この発表会にきていただいたインフルエンサーのツイートが強烈にバズりました。この一件は社内でも相当なインパクトをもたらしまして、エンジニアの人生を変えた一つのきっかけともなりました。そのインフルエンサーの方からVRChatの存在を教えていただき、まずは2021年2月に開催されたVRChat上のイベントに協賛してロボットカーのエポロを展示。そして今回のプロジェクトに繋がっていきました。社内的に信頼できるインフルエンサーの方からの紹介ということもあり、今回のチャレンジのハードルはそれほど高くありませんでした」(遠藤氏)

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