「VR日産ショールーム」に見るメタバース広報戦略 10年後はメタバースでの発表会が主流に?

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対してVRChatは、Windows PCかメタが販売するVRヘッドセット・Quest2がなければアクセスできない。スマートフォンのユーザー数と比較すると、規模は小さい。なぜ日産がVRChatというメタバースサービスのなかでショールームを作ろうと考えたのだろうか。VRChat内のNISSAN CROSSINGで、日産自動車日本事業広報渉外部の遠藤和志部長と鵜飼春菜氏に話を聞いた。

新たなコミュニケーションの場

日産自動車日本事業広報渉外部の遠藤和志氏(左)と鵜飼春菜氏。3D CGで作られたアバターだが、身振り、手振りがあるために実体感が強い(筆者撮影)

「日産のなかで、日本事業に特化した広報部隊ができて5年が経ちます。それまでは新聞、テレビ、雑誌といったメディアを対象にして情報を発信してきましたが、この部隊ではいままで以上に幅広い人たちにさまざまな情報を届けていこうという方針のもとウェブメディアへのアプローチをしてきました。また一億総メディア時代といわれる現在だからこそ、ブロガー、インフルエンサーといった方に日産を好きになってもらいたいという想いから、ブロガー・インフルエンサーの方にも発表会にきてもらったり、試乗をしてもらう取り組みをはじめました」(遠藤氏)

既存のメディアだけではなく、情報を伝える対象を拡大してきた日産。デジタル上での新たなコミュニケーションの場としてVRChatに注目した。

「弊社で言うデジタルコミュニケーションは、もともとウェブサイトやSNSでの活動を指している言葉でした。Twitterなど一部双方向なコミュニケーションもありますけど、基本的には一方的に発信するチャネルでしかなかったのです。そこでデジタルの世界にいる人たちとの双方向のコミュニケーションをするっていうのを模索して、その1つがこのVRChat上での取り組みだと考えています」(遠藤氏)

ビルの内外装をリアルに再現したデジタルツインなバーチャル空間となっている(筆者撮影)

メタバースサービスとして歴史の長いVRChatには、すでに数百万人のユーザーが存在すると公式発表されている。そしてVRChatユーザーは、それぞれが思い思いのコミュニティを作っている。

「VRChatのコミュニティの方々に日産の情報を伝える価値の可能性は間違いなくあると判断しました。そこで、まずは何かやってみようというところでNISSAN CROSSINGのワールドを製作しました。一般公開することでVRChatユーザーに自由に使ってもらえれば、それがまた日産のPRにもつながる。VRChatならではの発展も期待しています」(遠藤氏)

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