高萩光紀・JXホールディングス社長--強い危機感を持って石油精製販売を立て直す
新日本石油と新日鉱グループ(ジャパンエナジー、日鉱金属)が経営統合し、4月に誕生したJXホールディングス。7月1日には、持ち株会社傘下の三つの中核事業会社の機能別再編が完了、名実ともにJXグループが始動した。グループ売上高9兆円の大半を占める石油精製販売事業は、国内で圧倒的な存在感を放つ。ガソリンなど燃料油の販売シェアは34%と、ライバル他社の倍以上。8製油所を持ち、系列スタンド網は1万3000近い。
が、主力の石油精製販売を取り巻く環境は非常に厳しい。1999年度をピークに国内需要は減少の一途。産業界や家庭での石油離れが進み、過去10年で需要は2割も減った。業界の精製処理能力と需要のギャップは年々拡大し、各社は細るマージンに苦しんでいる。JXの母体である旧新日石、ジャパンエナジーの統合直前の2009年度決算では、石油精製販売の実質損益(一過性の在庫関連益を除く)が、合計で1400億円近い赤字に陥った。
嵐の中の船出となった巨大グループを、どう舵取りしていくのか。グループを率いるJXホールディングスの高萩光紀社長に聞いた。
--どんな優先順位で経営課題に取り組んでいきますか。
やはり、いちばんの課題は、石油精製販売事業の立て直しです。効率化と統合によるシナジー効果をきっちり出し、安定的な収益を上げられる事業体に変えていく。今回の経営統合もいちばんの目的はそこにあるわけですから。一方で、石油、金属とも収益性の高い上流分野へと投資を重点配分する。精製販売の効率化と高収益分野への戦略投資、二つを同時並行で進めていく。