高萩光紀・JXホールディングス社長--強い危機感を持って石油精製販売を立て直す

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縮小


--石油精製販売事業に対する現状認識を聞かせてください。

燃料油の国内需要は7年連続で減少し、今後も縮小が避けられない。国内の石油業界は過剰な設備を抱え、今でも完全な供給過剰。これだけの供給能力を抱えたまま需要だけが細っていけば、今以上にひどい過当競争になる。業界全体の供給能力を大幅に減らさないかぎり、業界そのものが共倒れになりかねない。

そうした状況を打破するには、圧倒的な存在感を持った企業が設備削減を仕掛けていくべき。さもなければ共倒れだという強い危機感があったからこそ、新日石の西尾進路社長(現JXホールディングス会長)と一緒に経営統合を仕上げたのです。

JXは経営統合から2年内に、精製処理能力180万バレル(日量)の2割超に相当する40万バレルを削減すると宣言しました。各製油所の一部トッパー廃止や大阪製油所の輸出製油所化などにより、計画よりも1年早い今年度中に削減を実現します。こうした能力削減の結果、稼働率は95%前後(昨年度実績は78%)にまで上がる。さらに20万バレルを13年度末までに追加削減する計画で、需給によっては前倒しも検討する。

当社が削減すれば他社も動いてくる

--これだけ需要が減ったにもかかわらず、なぜ石油業界は過大な設備を持ち続けてきたのでしょうか。

好きこのんで自社の能力を落としたいと考える会社はありません。経営するのは人間ですから、自分だけ能力を減らしたらシェアがどうなるとか、そういうことまで考えてしまうわけです。だから、お互いに横をチラチラ見て、あっちが動いてくれないかなと。しかし、3分の1ものシェアを持つわれわれが動けば、他社も追随してくると考えた。実際、昭和シェル石油が2月に川崎扇町製油所の閉鎖計画を発表するなど、能力削減の大きな動きが出ている。

よそが能力を減らすから、うちは何もしなくても(稼働率が上がって)うまい飯が食えるぞ、という都合のいい話はもはやこの業界ではありえない。成長産業なら話は別だが、燃料油は需要自体が減っていく。当社が40万バレル減らしたところで、全体で見るとまだまだ設備は過剰。何もしなければ稼働率は下がる。かといって、稼働率を上げるために今以上の安売りに走ったら、すぐに会社は傾くでしょう。資源エネルギー庁も石油高度化法を作って、無駄な能力を持つなと言い始めている。みんな動いてくると思いますね。

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