高萩光紀・JXホールディングス社長--強い危機感を持って石油精製販売を立て直す
--JXは12年度に石油精製販売で1630億円の経常利益を目標に掲げています。昨年度は実質1360億円の赤字。3年間でこれだけの業績改善が本当に可能ですか。
物流をはじめ細かいものも含め、統合によるシナジーが800億円。それとは別に設備削減による稼働率上昇や効率化で300億円弱、合わせて約1100億円の増益要因は自力で捻出できる。あとは(精製販売の)マージンの動向にもよるが、4~6月のマージン水準を見るかぎり、去年の最悪の状況からはよくなっている。各社の生産調整に加え、当社をはじめとする能力削減のアナウンスメント効果もあると思う。それでも08年度の水準には戻っていないが、今のマージン水準が続けば、1600億円程度は十分行ける。
--今後3年の総投資額(設備投資・投融資合計)9600億円のうち、6割以上を原油・天然ガス開発、金属の2部門に投じる計画です。
石油にしろ、金属にしろ、近年はもっぱら上流の資源そのものに付加価値が集中している。原油・天然ガス開発には3年間で3200億円を投じ、将来の権益生産量拡大につなげていく。金属も3000億円の投資のうち、3分の2は上流の鉱山が対象。銅鉱石の購入条件は年々シビアになり、今や鉱石を買って地金を作っても儲けは出ない。収益事業たらしめるには、自分たちで鉱石を押さえる必要がある。今春にチリのカセロネス鉱山の開発に着手し、ペルーでも鉱山開発を検討している。
10年後は能力半減も覚悟 それでも利益は出せる
--これから先、石油精製販売事業は縮小一辺倒ですか。
当面は効率化、収益安定化を優先するが、アジアを一つのマーケットと考え、今後伸びる分野には力を入れる。一つはパラキシレンを中心とする石油化学製品。あとは潤滑油。中国あたりは車がどんどん増えていくので、高品質な潤滑油の需要が増える。建設機械などで使う潤滑油もそう。こういった石油化学製品や潤滑油をアジアで増販していく。コスト削減、リストラ一辺倒では、社員だって面白くないでしょう。