だが、なにわ男子の場合、「笑い」以上に強調されている要素がある。それが「キラキラ」だ。最初にも述べたように、「初心LOVE」の曲調、衣装、パフォーマンスを見れば一目瞭然。弾けるような“元気印”のイメージだったこれまでの関西系ジャニーズとは一線を画し、華やかでまばゆいばかりの王子様アイドル路線である。「初心LOVE」でも、サビ前にメンバーの道枝駿佑の「ねぇ、今もだよ」というセリフが入るところなどは、まさに「キラキラ」そのものだ。
しかし実は、関西系ジャニーズにも「キラキラ」の系譜は存在する。まだ現在の関西ジャニーズJr.ができる以前、初の関西出身グループとして1997年にCDデビューしたKinKi Kidsだ。
KinKi Kidsの2人は、なにわ男子が出演した11月12日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にVTRでサプライズ出演。デビューへの祝福メッセージを送っていた。
面白かったのは、堂本光一がグループ名について、「まず、なにわ男子というグループ名…、ドン被りやないか!」と、ここも関西系ジャニーズらしくツッコんだ場面だ。確かに、“KinKi Kids”と“なにわ男子”を並べてみれば、言いかたとしては「近畿」と「なにわ」、「キッズ」と「男子」でほぼ一緒である。そこには、なにわ男子がKinKi Kidsのキラキラ感を同じ関西出身として受け継ぐ存在であることが図らずも表れている。
だがその一方で、堂本光一は、なにわ男子について、「僕らとは違うキラキラ感を持ってると思うんで」とも言っていた。
哀愁漂うキンキに対し…
デビュー曲「硝子の少年」を思い出しても明らかだが、KinKi Kidsの「キラキラ」には哀愁が混じっていた。当時彼らが出演した『人間・失格~たとえばぼくが死んだら』(TBSテレビ系、1994年放送)や『若葉のころ』(TBSテレビ系、1996年放送)といったドラマにも、明るいだけの青春ドラマには終わらない悲劇的要素があった。それは、1990年代というバブル崩壊直後の時代が抱えていた暗さの反映でもあった。
それに比べれば、なにわ男子の「キラキラ」には、そうした要素はほとんど感じられない。「初心LOVE」にも切なさはあるが、それは思春期の恋愛特有の甘酸っぱさからくるものであり、哀愁とはまた違っている。
ただ、なにわ男子が関西系ジャニーズの系譜のなかで、KinKi Kids以来前面には出ていなかったキラキラ感を復活させる存在であることは間違いない。つまり、関西系ジャニーズの歴史のなかでみると、なにわ男子は、「笑い」と「キラキラ」という2つの遺伝子のハイブリッドとして誕生した存在であることがわかる。ここを原点に、これから彼らならではの個性を磨いていくことになるのだろう。
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