今年、メジャーデビューから10周年を迎えたジャニーズの5人組A.B.C-Z。そのメンバーの1人、河合郁人の姿をテレビで目にすることが、格段に増えた。とくに最近は、出演者としてだけでなく、MC(司会)として起用されるケースも目立つ。なぜ彼がそこまでの売れっ子になれたのか、そしてそこに垣間見えるジャニーズタレントの「出世コース」の変化について考えてみたい。
ジャニーズオタクのジャニーズ
河合郁人がブレークするきっかけとなったのが、「ジャニーズものまね」だ。東山紀之、木村拓哉、松本潤、亀梨和也らのダンスの特徴、ちょっとした仕草や口調などをものまねで披露して評判に。プロの芸人に混じってものまね番組にも出演し、話題になった。
芸人によるジャニーズのものまねは、これまでもあった。だが河合郁人のものまねがそれと一線を画すのは、やはり“ジャニーズがジャニーズをまねる”というところだろう。身近に接する人間ならではの細かい目の付け所や、自らのダンススキルを生かしたまねの精度の高さなどは、これまでにあまりないものだった。もちろん、笑いをとるために誇張もある。しかし、河合郁人自身、幼い頃からの筋金入りのジャニーズファンということもあり、誇張のなかにもジャニーズ愛が伝わってきて、安心して楽しめた。
つまり、河合郁人は、「ジャニーズオタクのジャニーズ」という新たなポジションを確立した。そのあたりは、彼が所属するA.B.C-Zの立ち位置と似ていなくもない。
アクロバットを得意とし、華麗なステージを展開するA.B.C-Zだが、よく「苦労人」と形容される。後輩たちがメジャーデビューしていくなか、ジャニーズJr.としての活動歴が長かったからである。河合郁人も、むろん例外ではない。ジャニーズ事務所に入所したのが1999年で、11歳のとき。それからA.B.C-Zの一員として2012年にメジャーデビューするまで、約13年かかった。
ただ、その苦労の長さが、A.B.C-Zに独自のポジションをもたらした面もあった。彼らが座長を務める舞台に、2012年から始まった『ABC座』がある。そのなかで、「ジャニーズ伝説」というタイトルのもと、ジャニーズの歴史を演じるようになった。A.B.C-Zのメンバーが、実際にあったエピソードを交えながら、ジャニー喜多川や初代ジャニーズのメンバーを演じ、さらにフォーリーブスや少年隊など歴代のジャニーズナンバーを歌い踊る。この舞台を見ることで、ジャニーズの歴史を知った若いファンも多いだろう。
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