河合郁人が「司会業で大躍進」できた納得の理由 99年入所の苦労人「ジャニーズものまね」で脚光

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言い換えれば、MCとしての河合郁人は、「MCだからこうでなければ」というような、あまり型にはまった印象を受けない。2022年2月20日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系、2013年放送開始)で東野幸治の代役MCを務めたときも、「大丈夫ですかね?」と不安な気持ちを正直に吐露していた。そしてここでも、やはり松本人志の代役として出演していたヒロミから「お前、緊張しすぎだから」といじられ、笑いを生んでいた。

一方で、堅いジャンルの番組にも、活躍の場を広げている。昼の情報番組『ゴゴスマ-GO GO!Smile!-』(CBCテレビ、TBSテレビ系、2013年放送開始)では、2020年3月から金曜日のレギュラーコメンテーターとして出演している。こちらの番組でも、河合郁人は、2021年7月、石井亮次の夏休みにあたり、代役MCを3日間にわたって務めた。東山紀之や城島茂などベテランジャニーズが情報番組のMCを務めるケースはあるが、代理とは言え、河合郁人はまだ30代前半。珍しいケースだろう。

さらに今年の2月27日放送の『池上彰の激動!世界情勢SP』(テレビ東京系)では、メインの池上彰と組んでサブMCを務めた。以前、河合郁人は、同じテレビ東京の池上彰の選挙速報番組にゲスト出演したことがあり、その流れからの起用ということだろう。この日の番組は、ウクライナ情勢について。難しいテーマだが、「これからどうなっていくのか、あまりわからない」ので「学びながら」務めたいと言いつつ、等身大の目線で池上彰に質問をぶつけるなど存在感を発揮していた。

河合郁人が築いた「新たな出世コース」

こう見てくると、河合郁人が、一歩ずつ着実に階段を上ってきたことがわかる。ジャニーズと言うと、デビュー時から一気にスターダムにのし上がるというイメージがあるが、むしろ逆だ。だがだからこそ、河合郁人の堅実な成長ぶりはとても新鮮でもある。

MCとしても、得てして陥りがちな上から目線とはほど遠い。バラエティーなどの柔らかい番組ではいじられキャラ、情報や報道などの堅い番組では自ら学ぼうとする姿勢を崩さない。要するに、MCであったとしても、一出演者というポジションを忘れない。つねに目線は、ほかの出演者と同じ高さにある印象だ。

こうして、河合郁人は、いわば「たたき上げジャニーズ」とも呼べるような新たな出世コースを切り開いた。それは、ジャニーズの歴史のなかでもあまりなかったことで、注目すべきことだ。だからこそ、テレビの彼を見ていると、つい応援したくなるような親近感も湧く。いま、河合郁人は、新しい風をジャニーズに吹かせていると言えるだろう。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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