塩田潮
参院選で与党過半数割れとなったため、政権の枠組みに関心が集まっている。
衆議院を握る民主党の政権が続くが、他党との連携のバリエーションは何通りもが考えられる。
昔から「衆参の選挙結果は神の意思」といわれる。民意は、白黒をつけるべきときは「圧勝と大敗」を選択する。中間評価あるいは最終判断保留の選挙では「絶妙の数字」を弾き出してきたが、今回も「絶妙」となった。
「新ねじれ」で、参議院では民主党(106)は過半数に16議席足りない。自民党(84)や公明党(19)と組めば過半数に届くが、「民公」は4人以上の造反または離脱がある場合は不可となる。みんなの党(11)との「民みん」では5不足だが、5人くらいは他党からプラスアルファが望めなくもないという数字だ。
ねじれ状態で、衆議院での法案の再議決に必要な3分の2は318(定数480で欠員2)だが、民主党(306)に与党系の無所属と諸派、新党日本を加えても計310で、8議席足りない。自民党(116)か公明党(21)と連携すれば間に合うが、みんなの党(5)、たちあがれ日本、国民新党(各3)と組む場合はプラスアルファが必要となる。
となると、9月の民主党代表選では、トップを誰にすればどの党と連携できるかという要素が重要になる。9月まで、そこをにらんだ神経戦や情報戦が、野党も巻き込んで展開されるが、「絶妙の数字」を弾き出した選挙民の総意をどう受け止めるべきか。
「衆参過半数」という安定政権をあえて拒否して、民主党政権の暴走と迷走を厳しく監視し、一方で不安定政権の下での民意の集約や安定化への努力という試練を民主党に課して、じっくりと政権交代の意義と効用を見極める。これが民意だろう。
「救国政権」と称する民・自大連立は、自民党はともかく、民主党にとっては民意無視の自殺行為だ。「絶妙の数字」を正確に受け止め、「絶妙の組み合わせ」の政権を目指すのが民意に沿った選択である。
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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