「ヤングケアラーへの支援は進む一方、18歳以上の若者ケアラーの認知と支援は不十分です」
こう語るのは、自身も30代から認知症の祖母を介護し、ケアラーのコミュニティーを運営する作家・メディア評論家の奥村シンゴ氏だ。
「夜間のトイレ付き添いなどで睡眠時間も確保できない中、若者ケアラーが自分の進学や就職の準備するのは大変厳しいです。非正規雇用で働いたり、介護離職したりする人も多く、周囲と経済的な面でも差が出て結婚しにくいなどの問題も生じます。
長期化する介護でケアラー自身も心身の不調に陥るケースが少なくありません。また、コロナ禍では通う病院も限られ、デイサービスやショートステイも利用できない状況になりました。その間、国や自治体の支援はほとんどありませんでした」
「家族として大切に看たい」が…
では、若者を含めたケアラーに対する支援はどういうものが考えられるのか。奥村氏はこう提案する。
「イギリスやオーストラリアなどではケアラーに給付する『介護者手当』もあります。また、税金の控除や、介護者の休息を支援するレスパイトケアという形も考えられるでしょう。民間でも企業側がリフレッシュ休暇や介護休業の制度を充実させるなどの視点も重要といえます」
今回取材した当事者に共通していたのは、「家族として大切に看たい。しかし現状の手薄な支援では苦しすぎる」という葛藤に加えて、「身近に相談できるところがない」という苦しさだ。SNSが現実の人間関係以上に重要な居場所になっているという声も多かった。
経済的な支援だけでなく、当事者が気軽に相談できる社会的な環境づくりも必要といえそうだ。
(4日目第1回は竹中平蔵「私が弱者切り捨て論者というのは誤解」)
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