SNSで「他人を中傷する人」裁かれるまでのリアル 侮辱罪「知らなかった」では済まされない
起訴され、実刑判決が出る場合もあるのか。
「状況にもよりますが、いきなり実刑は考え難い。ただ、初犯でも罰金が科されたり、起訴されて執行猶予つきの懲役刑が言い渡される可能性も」(高橋弁護士、以下同)
「自分は書き込んでいないから関係ない」ではすまされないケースもある。
「例えばAの社会的評価を下げる投稿をBがリツイートした場合、自分のコメントはなく、単純に拡散しただけでも名誉毀損罪が成立する場合もある。拡散を原因として訴えられれば慰謝料を支払う責任が生じる可能性もあります」
発言(書き込み)だけでなく拡散についても、慎重になる必要があるのだ。
では、なぜ誹謗中傷問題は止まらないのだろうか。前出の三上さんによると、
「その理由は2つ、ネットでは何を書いてもいいんだという意識。もう1つはその人の正義感問題です。誹謗中傷を書き込んでいる大多数は自分が正しいと思っている。相手や社会に迷惑をかけている人間をのさばらせてはいけない、と“正義の鉄槌”を下す理念で書き込んでいるんです。正義感は人それぞれ違いますが、自分が正しくて相手を攻撃することが世の中のために正しいんだ、と思っている人は少なくないんです」
書き込む際はいつでも加害者になりうるリスクを秘めていることも意識しておかなければならないのだ。
高橋弁護士も訴える。
「匿名で、誰だかわからない相手から“殺してやる”“おかしい”と言われたらどう思いますか? 気分を害するなんてレベルじゃないと思います。それを誰が書いたかわからないため、恐怖で外を歩けなくなったり、安心してコミュニケーションもとれなくなる。
何を言われるかわからないから自分の意見を言えなくなったり、日常生活すらままならない。直接、危害を加えていないと思われるかも知れませんが、心無い誹謗中傷で身体や財産に甚大な影響が及ぶこともあり、書き込むときには自分の名前と顔を出して発信しても後ろめたくないか、直接相手に言えるか、と考えることが大事なんです」