SNSで「他人を中傷する人」裁かれるまでのリアル 侮辱罪「知らなかった」では済まされない
「あるネット配信に出演した女性が配信内での自身の行動や発言が元で大炎上しました。彼女のSNSのコメントは暴言だらけの大荒れに」(ネットに詳しいライター)
いくら腹を立てたからといっても、相手の人格を否定するようなネットへの書き込み行為は「自分の気持ちを書いただけ」ではすまされない。犯罪加害者として裁かれる可能性は十分考えられるのだ。
「自分は関係ない」ではすまされないケースも
「ネット上での誹謗中傷はいちばん捕まりやすい犯罪」と、ITジャーナリストの三上洋さんは指摘する。
「匿名掲示板やSNSは匿名性が高く、面と向かって言えないことを書き込んで相手を懲らしめようという思考なのでしょうが、それは大きな誤り。投稿や拡散という行為はいちばん特定しやすい」
そこで誹謗中傷をした個人特定までの具体的な流れを三上さんに説明してもらった。
「SNSでも掲示板でも投稿にはインターネット上の住所、『IPアドレス』が記録されています。そこには、契約しているインターネットプロバイダーや携帯電話会社が記されています。『プロバイダ責任制限法』という法律を使い、被害者は誹謗中傷をした人のIPアドレス、プロバイダー契約者の開示を求めることができます」(三上さん)
誹謗中傷投稿の情報を開示し、投稿した人物を突き止め、訴訟を起こすケースは最近、増えている。誰が書き込んだのか、相手がわかれば民事訴訟で慰謝料を請求できる場合がある。泣き寝入りせずに、裁判を起こす被害者も現れているのだ。
刑事事件となることもある。高橋麻理弁護士が解説する。
「1つは名誉毀損罪。例えば“Aは不倫してる”など事実かそうでないか問わず、相手を陥れるような書き込みをすれば犯罪として成立することがあり、その法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮。または50万円以下の罰金となります。
そして侮辱罪。“Aはばか、頭がおかしい”などの投稿がそれに該当する場合があります。事実と異なる書き込みをし、企業の業務を妨害すれば業務妨害に当たることも」