「米中首脳会談」このタイミングで開催の意味

会談から透けて見えた米中それぞれの思惑

オンラインで首脳会談を行ったアメリカのバイデン大統領と中国の習国家主席(写真:Sarah Silbiger/Bloomberg)

3時間半に及んだジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席による初めてのオンライン首脳会談は、2つの大国を対立へと駆り立てた根本的問題を解決することはできなかった。しかし、両首脳は明白に、両国が紛争の危機に瀕しているという誤認に疑問を呈し、抑制不能につながる意図しない緊張の高まりを防ぐ姿勢を見せた。

落としどころを見つけたかった

その姿勢が特に現れたのが、米中関係悪化の原因の1つになりかねない台湾問題だ。アメリカのジェイク・サリヴァン国家安全保障大統領補佐官によれば、習氏とバイデン氏は時間をかけて台湾について議論し、両氏ともに自らの長年の立場を注意深く改めて表明した。

中国は、台湾を独立に向けて動かすどんなステップにも強く反対する立場である。一方、アメリカはサリヴァン氏が会談後にブルッキングス研究所に語った通り、「平和的な手段以外で台湾の未来を形作るためのあらゆる試み」に反対の線引きをする立場であった。

しかし、サリヴァン氏は、「1つの中国」の存在と、この立場を何度も主張してきた、数十年に渡る一連の共同声明のアメリカの姿勢を繰り返した。これは明らかに中国側に向けたメッセージである。会談は双方が「不安定な活動」を回避し、「リスクを管理し、競争が衝突に転じないようにする」ことを目的としており、誤認から生じる意図せぬ衝突の回避を目的としている、と同氏は述べた。

「双方ともに制御不能ーーお互いに解決策を探ろうとせずに罵り合い、まるで鏡を見ているかのように報復に没頭する状況ーーに陥いっていることを懸念し、何とか落としどころを見付けたいと考えている」と元高官でアジアの専門家で、アトランティック・カウンシルのロバート・マニング氏は話す。

また、「気候変動、イラン、北朝鮮、アフガニスタンなど、両国で利害が重複しているところもあり、そうした共通点での協力から始めて、相違点を克服するためのメカニズムや、どこで協力すべきかを模索するよう、両国の官僚にトップからの指示が出されているのだろう」とも話す。

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