「米中首脳会談」このタイミングで開催の意味 会談から透けて見えた米中それぞれの思惑
元通商交渉官で、現在はヒンリッヒ財団の上級研究員であるスティーブン・オルソン氏は、「アメリカと中国が、それぞれのまったく異なる世界観の間で繰り広げられているスローモーションの衝突を建設的に管理できるかどうかが、広範な関係にとっての未解決の問題だ」とコメントしている。
「協力して取り組んでいくが、中国とアメリカの間にある明確な立場の違いが解消されることはないだろう」と、オルソン氏は見る。
「しかし、その影響を軽減するための方策に責任を持って従うことは可能だ。それが両国にとって最善の方法であり、当面の間は米中間における明確な課題であると言える。しかし、バイデン氏と習氏の首脳会談によってこの課題の解決に向けて少しでも前進したかどうかは、まだわからない」
ひとまず、小さな一歩を踏み出した
今のところ最も期待されていることは、対立や戦争の可能性に関する議論がノンストップで続く中で、小さな一歩を踏み出し、政府高官による交渉をより意義のあるものにすることだ。直近ではメディアによる厳しい批判を減少させるというメリットもあるだろう。
今回の首脳会談では、中国の官製メディアの中国人記者のアクセスを許可する代わりに、アメリカ人記者のビザに関する規制緩和についての合意がなされ、記者らの中国への帰国が認められた。ビジネスや学問に関する渡航制限についても段階的な緩和が今後も続く可能性がある。
中国メディアの報道は公式発表を反映したものになっており、この結果を肯定的な変化と捉えつつも、中国政府の勝利であるとしている。中国のソーシャルメディアを注意深くモニターしているある学者は、「断固とした、しかし攻撃的ではない姿勢だ」とコメントしている。
「中国政府は安堵している。トランプ前大統領は非常に攻撃的で何をしてくるか予測不可能な人物だったが、バイデン大統領は予測が立てやすく、融和的な人物である印象を受ける」
この情勢がいつまで続くのかは不透明なままだ。
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